異世界帰還彼女

@kakukaki

第1話 彼女が消えたあの日

中学に入って半年今日俺は香賀紫青かがしせいは一世一代の事をする。

そう幼馴染である大月莉乃おおつきりのことりのちゃんに告白するのだ。

昼休みに放課後学校の裏に呼ぶことに成功した。

そしてりのちゃんと向かい合い。


「今まで好きでしたどうか付き合ってください」


そう言って手を出して思いっきり頭を下げる。

動悸が早くなり視界が少しぼやけるそれほどまでに緊張と不安があった。

そんな中一向に返事が来ないので不思議に思い頭をあげると莉乃ちゃんがいなくなっていた。


「は、はっは………」


俺はどうやら振られたようだった。

乾いた笑い声が出た。

そんなに嫌だったのだろうか?幼稚園から一緒にいた彼女にこれほどまでに拒絶された事がなかった俺はどうしてもその場から動くことはできなかった。

しばらくしてようやく俺は鉄のように重い足を動かして家に帰ることができた。

家に帰ると親父が急に俺の元にかけてきて親父が肩を掴んで言った。


「紫青。莉乃ちゃんがどこにいるか知らないか?」

「りのちゃんがそれがどうしたの?」

「落ち着いて聞け紫青、莉乃ちゃんがまだ家に帰ってきてないそうなんだ」

「え……………ど、どういう…なにを言って」

「莉乃ちゃんの両親曰く夕方をすぎても帰ってきてないらしくてこんなこと今までなかったらしい」


俺は何も言えずそこに突っ立ていた。


「その反応だと紫青は知らないみたいだな莉乃ちゃんの両親には俺から言っておくから紫青はとりあえず飯食え」

「だ、大丈だよ親父俺もりのちゃんを探すの手伝うよ」

「いやいい確かに辛い気持ちもあるかもしてないがそれで紫青がもしもいなくなってしまったら俺が悲しいだから家で待ってなさい」

「親父の俺を心配する気持ちもわかるだけど俺だってりのが心配だ!」


俺が親父に対してそう言うと何か納得したような顔をした。


「好きな人ができたんだな」

「なっ、それより今はりのちゃんを探さなきゃ」


親父の言葉に顔が赤くなるがこれは恥ずかしがってるじゃないからなないからな。


「じゃあ俺は知り合いに電話して協力をお願いするから紫青はこれ持って探してこい」


親父は大きいライトを紫青に渡した。

俺はリュックを玄関に置き、ライトを持ちながら心当たりがあるなし関係なしに色々な場所を大急ぎで駆け回る。


「ここにもいない」


公園やスーパーやコンビニなど。


「ここもいないどこにいるんだ?」


二人だけの秘密基地や学校裏など。


「一体どこにいるんだ?りのちゃん」


そして気づけば俺は神社の前にいた。

鳥居には『時空神社』と書かれていた。


「ここは神社?でもここに神社あったっけ?」


神社に様々な疑問に思いつつも自然と足が神社の中へと進む。

中はとても綺麗で音が一つもしなかった。

それはとても


「この神社妙に静かすぎない。考えすぎだけど時でも止まってる?まあそんなわけないだろうけど」


そう感じるほどに静かだった。

何を言っているんだと思うかもしれないが水の流れる音木々の騒めき風が吹く音が不自然と感じるほど何一つしなかった。

少し恐怖を感じつつ賽銭箱の方へと歩いて行く。

そしてズボンのポケットから財布を取り出し中にあった札や小銭を全て入れる。


「どうかあの時、俺がりのに告白した時に戻れるならどうか」


こんなことしている時間が無い事は理解しているだが探しても見つからない莉乃ちゃんをもしあの時向き合って告白していたら?、もしすぐに追いかけていたら?今こんな事にはなっていなかった、そう思うとどうしても戻りたいと思った。


「無理だってわかってる。でも神様ここは時空神社なんだろなら俺のお願いを叶えてください!」


俺の願いが届いたのか何かが集まり始め湾曲しながら縮小していきそして透明な球体となって俺の前に現れた。


「これはなんだ。ビー玉?」


恐る恐る手に取るとビー玉は手に吸い込まれいった。


「うわああ!?ないなに急に手に吸い込まれてえええ」


手で振り払おうとする前にての中に入り切ってしまった。


「ええ何か入っていったんだけどこれってどうしたらいいんだ?」


どうしようかなと悩んでいると「ガッゴン」と何かが割れるような音がした。


「うおっ!?びっくりしたーなに急に」


音の方を見るとそこには先ほどまで汚れ一つない綺麗なかった参道の石が苔だらけのヒビだらけになっていた。

他にも蔦が絡まっていたり柱が一本なかったり屋根が壊れていたりと先ほどの風景はどこへと言いたくなるほどに変わっていた。


「おかしいな。さっきまではこんな汚れていなかったのに急にどうして?」


考え事をしているとまた「ガゴン!!」と先ほどより大きな音がした。

なんだと思い音のした後ろを見ると奇妙な光景がそこにはあった。

崩れた本殿の瓦礫などが空中で停止していた。


「何がどうなって、って危な!」


そして俺の頭上には本殿の瓦礫があった。


「急に本殿が崩れたと思ったら今度は空中に瓦礫が止まってるしなんなんだいったい」


ゆっくりと瓦礫の方に近づき触って押してみると簡単に動かすことができた。


「以外と簡単に動かせるけど、なんなんだこれは?」


再度あたりを見渡す、来た時とは全く別の場所と言われても不思議ではないくらい変わった光景に一つの考えが浮かんだ。


「いやいやまさかそんなことができるわけがないどこかの吸血鬼じゃないんだから」


そう思いつつも本殿から少し離れて言った。


「時よ再始動せよ!」


すると空中で停止していた瓦礫が動き始め本殿は完全に崩れてしまった。


「えええーいやまじでそんな力あるなんて思わんやん」


考えはしたが流石にそんなわけないと思っていたが目の前の光景がそんなわけないと言わせてくれなかった。

俺は今能力?だかなんだかで慌てている場合ではないことを思い出す。


「あっ!!!そうだ元々はりのちゃんを探しにここにきてたのに長居してたら意味ないじゃないか」


急いで神社から出て右に行こうとすると左から車がやってきた。

車は俺の前で止まると窓があき親父が現れる。


「親父?どうしてここに、もしかしてりのちゃんがここら辺にでもいるの?」

「いや俺も探しはしたが見つかってなくてな。…紫青今日はもうあきらめろ」


親父は申し訳なさそうな顔をしながらそう俺に言った。


「なんで…あきらめる?りのちゃんを…どうして?」

「…すまん……」


親父は申し訳なそうにそう言った。

わかっているわかっているのだだけど諦めたくない。

気づけば俺は走り出していた。

だけど俺の横にすぐに親父が現れる。

そりゃそうだ俺は徒歩なのに対して親父は車追いつけないわけがない。


「いきなり諦めろなんて言われて納得いかないよなその気持ちは俺にもよくわかる!だけど俺はそれで紫青がいなくなってしまう方が悲しいだから今日は一旦諦めてくれ」


親父は俺の方を見てそう言った次の瞬間だった。

前からやってきたトラックと正面衝突した。


「おやじ!!!」


俺が叫ぶと時間が停止した。

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