LORE

Rokuro

手記の最後に書かれているもの。

――これは、物語でも何でもない。

ただ、私たちが独自に調査をし、独自に足を踏み入れた場所たちの記録だ。

決して、決してそこに踏み入れてはいけない。

ここまで読んでくれた誰もが、この都市伝説たちに興味を少しでも抱くだろう。

しかし、その先に進むことは許されない。

彼等と我々の住んでいる境界はハッキリしていて曖昧だ。

だからこそ、だからこそ「恐ろしい」と感じるべきだ。

いつでも、そちら側が手を伸ばし私たちを引きずり込む。その準備は出来ている。

そう言った現象を「行方不明」「神隠し」と呼ぶ。


……しかし、私は近い将来、それにふさわしい失踪を遂げるだろう。

だが、どうか。

どうか探さないでほしい。

あなたにも愛する人が居て、信頼できる友が居るだろう。

居ないといって、生命を投げうってはいけない。

都市伝説に、深入りしてはいけない。

あちら側が察する前に。



……最後に。

これは私信だ。

一路くん、紫樹くん、蓮華ちゃん。

詩織ちゃん、冬伊くん、定ちゃん。

君たちは、もう都市伝説から離れた方が良い。

結末は、私と一緒だ。

それだけを、願うよ。

ありがとう。


                  小野田 冥

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