第84話
「それじゃあ他の皆は受付のとこに行って登録してきてこい。目立つな、とは言わないがトラブルは避けろよ」
「了解」
既に冒険者登録を終えた俺たち以外は、がやがやと楽しげに受付のある下の階へ降りていった。どうにも遠足気分のようだが大丈夫か?
「よし、ソフィアは地図の入手、フィーは周辺の街道や村の情報収集に行ってくれ」
「………………私は?」
「ピクリナは俺と一緒にこの街を見たあとで出発の準備だ」
「……快諾
「なんか言った?」
「何も」
この三人の中ではピクリナと一緒にいるのが落ち着く。
二人に比べて無口だしくっついてこないからそれほど会話に困らない。
ギルドを出て街の大通りを歩く。
大通りの左右には屋台が出ていて雑貨や食料品など様々なものが売られている。
あれは……スライム専門店。ギルドで依頼が出ていたとは言へ、もうできてるのか?商人はやはり動くのが早い。
高額なスライムはイラストだけで、この屋台には無いらしい。注文を受けたら保管している倉庫から持ってくるそうだ。
一番高い値段のスライムはドクタースライムとメディスンスライムのセットで、オリハルコン貨三枚だ。
貴族とかじゃないと手が出ないな。
アダマンタイトスライムはそもそも品目に出てなかった。
もしもアダマンタイト製の武器が多く流通して俺に向けられたときが面倒だから、モブダたちにタイムさせた個体以外ほとんど外に出してないからな。
よくよく観察すると、街にはそれなりの数のスライムがいる。
人間十につき一って割合か。所有者は冒険者ばかりでは無く、ちょっと裕福そうな子供も連れていることがある。ペットみたいな感覚で連れ回している人が多いようだ。
仲よさげだけど、こいつらはテイムされた訳じゃなくて、俺の命令によってテイムされたふりをしてるから、俺がその気になればこの街の人口を半分は減らせられるだろう。
そんなことしても、なんの利益も得られないからやらないけどな。
スライムたちはダンジョン外の情報を収集させる為の駒だ。俺の駒を本当だったら敵対しているはずの奴らが護衛してくれるんだからこんなに笑えることはない。
「いい感じにスライムは人間社会に馴染んでるようだな」
「…………慧眼
……モンスターを人間社会に溶け込ませて情報収集させることがかな?
クレイスライムと遊ぶ小さな子供を見ながらそんなことを話す。
屋台通りを歩いてるといい匂いがするので匂いの元へ行くと、肉の串焼き屋台があった。
「おっちゃん、これなんの肉だ?」
「ミートスライムの肉だよ。デートしながらでも食えるよ。買っていくかい?」
ミートスライム、そういや作ってたな。
肉を生み出すけど本当に食べて大丈夫か怖くて食ってない。
よくこんなの売るきになったな。
「そうだな。それじゃ2本もらうよ。あと俺たちは恋人じゃないから」
「……本望
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