第39話

「なんとっ……」


「呪いと言うことは、術者がまだ近くにいるかもしれんぞ」


「呪いの種類は、一定の範囲の耐性のない者たちから生命力を吸収するというものですね。遠すぎると効果が無いので間違いなく術者は近くにいるでしょう。さっきスライムたちに偵察に向かわせたのでいずれ見つかるはずです。見つかり次第俺が倒します」


 呪いの技を使える人間、スライムに食わせたら戦力の向上になる。

 今の主力は武道書やスクロールを食わせたアダマンタイトスライムフル装備のヒューマンスライムが数十人程度だからぜひとも手に入れたい。


「おぉ……それは有り難いが、よろしいのですかな?」


「はい。……お、どうやら見つけたらしいです。では失礼します」


「村をお願いしますじゃ」


 老人たちは皆両手を床につけお辞儀をしてきた。

 うっ、私利私欲のためにしてる事を感謝されると罪悪感が……。


「ま、任せてください」


 俺は鎧を装着して集会所を出た。

 村を出て十分程離れた森にそれは居るとスライムから連絡が来た。


 呪いを村にかけていたのは虎のような姿のモンスターだった。ただしましまの黄色い部分が紫色だ。見るからに毒とか呪いとか使いそうな見た目だな。


 術者って言ってたからてっきり人間かと思ってた。

 俺は今その虎のところに向かってる。それにしてもドクタースライムとメディスンスライムは凄い。呪いまで分かって治すなんて。この世界では呪いも病の一種なのだろうか?


「あれか……」


 茂みから覗くと、虎のモンスターがウロウロしていた。

 呪いが解かれたから落ち着かないのか?

 まあいい。どう見ても強そうな見た目だし、不意討ちで一撃で決めさせてもらう。


「うぉりゃっ!」


「ゲェ!」


 茂みから飛び出してそのまま剣を虎の首に振り下ろす。

 体の限界を超える速さでスライムアーマーは動くから激痛が走るが、虎の首という対価は得た。


 ……思ったよりあっさりと片がついてしまった。見た目だけでそんなに強くなかったのか?

 そう思った直後俺は自分の装備を見る。そういや俺の装備ってこの世界で最上位だったな。自動で動くし。


 あれ、ひょっとして俺って結構強いんじゃね?

 なんだかんだ言ってCランク冒険者の奴には勝てるし…………いや、体痛いし長期戦は無理だな。

 そこで俺の思考は突然かけられた声によって止められた。


「あんたダンジョンマスターね?」


 上を見ると翼と角が生えた紫色の髪の少女が浮いていた。

 うおー、魔族だ。初めて見たな。

 いやいやそんなことよりも。


「あのー……」


「言わなくても分かってるわ。あたしとあんたは同類。ダンジョンマスターだってことくらい」


「そのー……」


「あたしのモンスターを殺したことは特別に許してあげる………………そうねぇ、その腕を見込んで同盟を組んであげてもいいわよ」


 え?なんで話し続けるの?

 だめだこの子、人の話聞かん人だ。

 だったら俺も一方的に言ってやるよ。


「パンツ見えてるぞ」


 そう。彼女の服はワンピース。下から見上げる形の俺は彼女の紫色パンツがしっかりと見えていた。


 俺の言葉に先程までゆうゆうと喋っていた少女は、自分の服装を確認すると顔が羞恥で真っ赤になった。


「きゃー!変態っ!」


 見たくて見てんじゃねーよ⁉





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