第9話

「よーし、お前らはそこから掘ってけ。外には出るなよー。入り口は後で作るからな」


 そう言って、俺は何組目か分からないスライムたちを送り出した。

 上の層はコアちゃんに任せて、俺は今第二迷路(予定地)から横へ広がるようにクレイスライムたちを送り出している。


 コアちゃんにモンスター分解以外の、他のDPの入手方法は無いのか聞いたところ、ダンジョン内の冒険者から少しずつ魔力を回収し、DPに変換するらしい。

 尚、冒険者を殺害すると魔力全てをDPに変換できる。


 そうそう、俺のスライムってかなり特別らしい。本来のスライムと戦闘力自体は変わらないが分裂速度、進化速度、進化の幅が段違いに強化されてるそうだ。


 他のダンジョンマスターたちは、特別製のスライムを持ってないので、俺みたいなアダマンタイトスライム収入が無いから、冒険者が主な収入らしい。


 しかもダンジョンマスター同士で行うダンジョンバトルなる物があって、気に入らないダンジョンマスターをボコボコにできるシステムがあるらしい。

 逆にボコボコにされる可能性もあるがな。


 最弱モンスターしか召喚できないくせに、謎の安定したDP収入がある新人が現れたら間違いなく他のマスターに絡まれると俺は考えたので、ダンジョンの大規模な改造を始めた。


 アリの巣のように、いくつかの通路と部屋が網目状に広がってゆくようにスライム探検隊を送り出したのが冒頭だ。地表ぎりぎりまで掘らせておいてダンジョンオープンの日に入り口を作る予定。


 ダンジョンの入り口をいくつも作っておけば、ダンジョンバトルで敵を分散できるらしい。

 更に人間にだってメリットがある。


 死ぬ危険がほとんど無いダンジョンが世界中と繋がっている。外は自動車なんて無いファンタジー世界。転移魔法とかはあるだろうけど、ショップにある転移系のアイテムやスクロールは馬鹿みたいな値段だったから、そうそう使えるものじゃないはずだ。


 だったら、うちのダンジョンを利用しようとする人は出てくるはず。例えば商人とか。


 そこも考えて全ての派生ダンジョンは同じような作りにしている。

 それぞれの第一迷路の入り口前に、他の第一迷路へ行くためのテレポートゲートを設置した。

 ちなみにテレポートゲートは1000万DPだった。


 これなら、このダンジョン移動に便利だし壊さなくても良くね?的なノリで放置又は保護してもらえるかもしれない。


「なる程、徹底した生存戦略。狡いけど悪くない」


「だろー。しかも、他の迷路はコピペするだけでいいからコアちゃんでも作れて俺は楽できるんだぜって、誰⁉」







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