スライムダンジョンのダンジョンマスター
白街
第1話
目が覚めたら、十畳程の石造りの部屋に居た。
俺の記憶が正しかったら学校から帰って、ラノベ読んで、晩飯食って、風呂入って、布団の中でラノベ読んで寝たはずだ。
決してこんな寝づらい石畳の上で寝てはいない。
そう言えば読んでたのって、ダンジョン経営物だっけ。だからこんなダンジョンの中にいる夢を見ているのだろうか。
「なんだ、夢か……ぐぅ」
『寝ないでください』
夢だと思い再び寝ようとすると、女性のような無機質な声で止められた。
一人っ子である俺の家の女性は母親しか居ない。そして母はこのような声ではない。
「んー?誰だ?」
『こちらです。マスター』
声の主を探そうと部屋を見渡たすが、部屋の中心で薄く赤く光る水晶玉以外は何もなかった。
「まさかな……もしかしてその玉か?」
『はい。私はダンジョンコア。あなたは私の運用シミュレーションのためのマスターとして、私の製作者から選ばれました。こちらはその製作者からの手紙です』
ポトッと、目の前に封筒が落ちてきたので中身を取り出して読んだ。
「……マジかよ」
やあ新人マスター君。僕は君の目の前にあるダンジョンコアの製作者だ。
早速本題に入るけど、実はそのコアは少々特殊なんだ。実際に試してみたいんだけど、これでも僕は結構忙しくてね。
そこでマスターとして君を選んだのさ。
好きでしょ?こういう展開。
この世界のことやチュートリアルは、そこのダンジョンコアに教えてもらってね。 製作者より
何だこの適当な説明は。俺がダンジョンマスターに選ばれたこと以外これといった情報がないじゃん。
だが、一言も元の世界に戻してやると言わないあたり、この製作者とやらは俺の性格把握してるな。
戻る気?ないよ。友人も居ないし、元の世界で大学行って就職するよりこっちのほうが断然楽しそうだ。
親がいきなり消えた俺のことを少し心配すると予想できて少し心が痛いが、現状俺ができることはなにもないしな。
「俺はどうすればいいんだ?」
『マスターネームを登録してください』
「
『登録完了。ふつつかものですが、よろしくお願いしますマスターユースケ』
「お、おう。こちらこそよろしくコアちゃん」
なんか違う気がするけど、まあいいか。
『続いてチュートリアルに移ります。マスター、私に手を置いてください』
コアちゃんに手を置くと、目の前にメニューウインドウが現れた。ホログラムってやつか?
『初期設定は完了しました。もう手を離しても大丈夫です。次からはメニューを閉じるときはクローズ、開くときはオープンと言ってください』
「わかった」
メニューの右上を見ると、DP5000とある。DPってのはおそらく、ダンジョンポイントだろう。
これが多いか少ないかはわからないけど、序盤だしひとまずはやりくりしたほうが良さそうだ。
『まずはモンスター召喚をしてください』
召喚と書かれておるボタンが分かりやすく点滅したのでタップする。
スライム DP10
柔軟でどんなものにでも進化できる無限の可能性を持つモンスター。一日一回分裂する。
ただし、進化していなければ赤ん坊が踏んだだけで死ぬ。
……弱くね?でも10ポイントだしこんなものなのか。でも赤ちゃん以下って……とりあえず一匹召喚してみよう。
スライムをタップして召喚と、目の前に魔法陣が浮かんでそこに一匹のスライムが現れた。
サッカーボールくらいの大きさで、触るとぷにぷにしている。
あと少し冷たい。
うん。それだけだ。
「なるほど、水枕くらいにしか使いみちが思い浮かばない。しかも寝る時勢いよく飛び込んだら死にそうだ。コアちゃん、他のモンスターは?」
『ありません』
「…へ?」
『私はスライムしか召喚できないダンジョンコアなんです』
コアちゃんの衝撃的なカミングアウトに俺は呆然とした。
これが詰みってやつなのか、と。
============================
面白い、続きが読みたいと思ったら、フォローやレビュー、応援をしていただけると、非常に励みになります。よろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます