第7話

4月に行われる体力測定。周磨の測定結果は小学校入学時から6年間、毎年のように記録が伸びていた。


3年生の頃、既にサッカーをしていた友人の誘いもあって「自分の実力をちょっと試してみたいな」と思い、なにげなく参加した地元の育成サッカーチームのトライアウトに見事友達と二人そろって合格。チームに所属することになった。

全くサッカーもやったことない周磨は、後日にチームから合格のお知らせが届いた時には自分でも驚いていた。もともと気軽に受けたトライアウトだったためチームに加入することも正直即決はできなかった。しかし家族の言葉に背中を押されて入団を決めたという。


「周磨は別にサッカーすること嫌ではないんでしょ?」

「うん」

「じゃあ挑戦してみたらいいんじゃない?周磨は経験がなかったけど、他のトライアウトに参加してた子たちはサッカー経験者ばっかりだったから、周磨はすでにこの時点でその子たちに勝ってるのよ?私たちも昔はスポーツ選手ちょっとかじってたけど、スポーツの世界は常に上手い人が生き残っていく。サッカー選手だって戦力外になったらすぐに契約切られるかもしれない。チームスポーツだから連携はもちろんよくないと試合には勝てないけど、試合がないオフシーズンになると来シーズンの契約の奪い合い、そういう世界なんだよ。受けて落ちた子たちのためにもっていうのもおかしいけど、別に嫌じゃないならすぐに選手になるわけでもないし育成チームなんだからちょっとだけ頑張ってみる価値はあると思うよ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る