第6話(中学生視点)

「かぎっ、ぁぁっ、」

ランドセルの脇に入っている鍵を取ろうとして気づく。そうだ、僕は今、中学生だ。このカバンのどこかに入れた。小ポケットを開けるけど、ない。

「そんな…かぎ、んぅぁっ、」

片手でおちんちんを激しく揉みしだき、チャックを開ける。大量の教科書のせいで、どこに入っているか分からない。

(そうだっ、きょうあさっ、急いでてっ、どこ、どこぉ…)

絶対奥底に挟まっている。出せると思っていたから、体が勘違いして、出口がずっと熱い。

(おしっこ、だめ、だめ、あっ、はやくっ、)

重い鞄を投げ落とし、慌ててしゃがみ、踵でぐりぐりと押さえる。踵と右手で挟み込んで、左手で教科書をかき回す。

(どこっ、どこぉ、はやくしないとっ、ここでっ、やだっ、)

ぶるるるるるるっ、

「ああっ、あっ、やだっ、でちゃ、」

ぞぞぞ、と背中が跳ねる感覚。お腹のぱんぱんが限界を迎えて、しぼもうとしている。慌てて左手でも押さえる。

「っふ、っふぅ、っぅ、」

息をするだけで膀胱が出しちゃうぞって脅してくる。ぴく、ぴく、と震えて、動けない。

(もれちゃうっ、おしっこ、せっかくがんばったのにっ、)

 視界がぼやける。せめて、鍵があれば。お漏らししちゃったとしても家の中だから、どうにでもなったのに。


「なあ、うちでトイレするか?」

ゆっくりと顔を動かすと、さっき一緒にいたお兄さん。

「もう我慢キツいだろ。うちでしてけ」

あ、もう全部バレちゃってる。恥ずかしい。でも、

(ここでお漏らししちゃう方が恥ずかしい…)

「…はい、すみません…」


「どうぞー、突き当たり奥な」

僕のカバンを持ったお兄さんがドアを開けてくれる。少し違う間取りの部屋。一人暮らしだからか、少し小さい。

「っふっぅ、んんっ、」

キツく結ばれた靴を無理やり脱ぐ。フローリングの床を一歩、一歩歩く。

(でる、でちゃう、)

足が思うように出ない。お尻を突き出しているからか、膝が曲がったままで、なかなか上手く歩けないのだ。

(おしっこおしっこおしっこ…)

お兄さんが横をすり抜けて、ドアを開けてくれる。

(あ、トイレ…はやく、はやく、あそこに座って…)

ぷじゅっ、

「あ」

じょわああああああああああ…

手が、熱い。

「え、ぁ、やだっ、」

ストローで吸うみたいに、おしっこを止めようとしても、おしっこの穴は広がったまま。勢いよく手の壁をすり抜けて、重力に逆らって落ちていく。

「ふ、むむむっ、」

じょおおっ、ばちゃばちゃ…

お腹に力を入れても、逆に勢いが増して、止まらない。

(あ、といれ…そこなのに…おトイレじゃないところで、おもらし…人のおうちで…)

しゃああああああああああっ、

足をよじっても、手を強めても水流は強くなるばかりで止まらない。おしっこの穴が広がりすぎて、閉まらない。

「はぅ、ふぁ、ぁ、ぁぁぁ…」

(おなか、すっきりしていく…)

しょろろろ…ぢょろっ、

「はふぅ…」

きもち、いい…お腹がジーンとして、頭くらくらして。

「とりあえず着替えるか。シャワー使え」




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