アディのビスケット

デルタイオン

第1話 言い出しっぺのビリー

ただほんの少し、時間が欲しくなったんだ。あの時は……バカだったなぁって思うけど。でもね、それと同時に………僕が僕だったんだってわかった瞬間なんだ。アディと出会ってからの日々ぜんぶがね。


ビリー・ビスケット ―17―







朝日がカーテンが溢れて顔へ日が当たる。目覚まし時計は電池切れで長らく動いていなかった。


ベットから起きて目を覚まそうと必死に目を擦る少年。少し茶髪の髪はボサッとしていて寝癖になっていた。


「ビリー?起きないと遅刻するわよ〜?」


「は〜い!!わかってるっての……」


壁掛け時計はまだしっかり動いていて、それは朝7時を指していた。少し遅い目覚めだが、朝礼は8:30からだ。まだゆっくりとしていられる。


朝食を食べてお風呂に入って歯磨きして急いで昨日のうちに準備していたカバンを持つ。


「いってきま〜す!!」


「いってらっしゃ〜い。気をつけてね〜?」


「は〜い!!」


新聞に必死な父親からは何も言われず、母親からのいってらっしゃいに元気よく返事して飛び出していった。気をつけてねなどと言われながら左右を簡単に確認したら道路に飛び出していく。遅れて廊下に立たされるなんてもう二度とごめんだからだ。


学校へ走っていると他の子と合流し始め、そこでやっとこさ安心し始める。今日は友達と出会わず教室まで行った。


「お、ビリー!!おはよう」


「おはようケン!!サイもおはよう」


「うん。おはようビリー。遅かったね?」


教室の扉を開けるとケンとサイが出迎えてくれた。この二人が一番仲が良いグループだ。ビリーを除いてほか二人がちょっとモテているのにはムカついてはいるけど。


「ビリー。お前さ、あれ見たか?」


「あれってなんだよ?」


「ああ。ケンの言ってるのはアレか……戦闘機だね?」


この3人はちょっとした軍事オタクグループで、顔は良いのにちょっとだけしかモテていないのはオタクが理由なのはここだけの秘密だ。


戦闘機と言うと多分今朝のニュースに出たりしたのだろう。だがビリーはそんな暇なく見ていなかった。なにより母親はテレビ見ないし父親もテレビは見ない派だ。唯一見る自分も仮面ライダーとかを見るだろう。


だがほか二人は違うようだ。


「なんかさ、羽がブワァー!!って広がってさ!!滅茶苦茶かっこいい新型が出たんだってよ!!」


「白色でかっこいいというより美しいって感じだね。このコロニーに来たようでニュースになってたよ」


「へ〜。1度見てみたいなぁ〜」


何気なく言ったこの言葉に二人の目がキラキラし始めた。いけない、彼等は大の危ないことが好きなタイプだ。ゲームとかでスネークやら雷電やら名前を付けているに違いない。


「え……マジ?」


当たり前だと頭を縦に振る。こうなると強制的に言い出しっぺの自分も参加になるんだろう。隠れんぼとかでも一番最初に見つかるから嫌なのに……


「じゃあ放課後な!!またな!!」


「昼休みはいつもの所。そこで作戦を立てよう」


そう言いケンとサイは席へ戻った。本当にやる気である二人に放課後が憂鬱になる……しかし、それ以上に楽しみだという感情もあるのは確かだ。授業の内容なんて1ミリも頭の中に入りはしなかった。

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