部屋に響く音【小説版】

【い-14】文学フリマ京都_筑紫榛名

(一)

 部屋に携帯電話の着信音が鳴り響いた。

「お、ついに来た!」

 福永修一はそう言って、自分の父である福永修司の方を見た。

「いやこれは携帯の音よ」

 本革ソファで修一の隣に座る福永美幸が言った。

「すみません、私のです」

 そう言ったのは、美幸が座るソファのローテーブルを挟んだ向かい側の黒の本革ソファーで、美幸の父親の隣に腰掛ける背広姿の高井戸文彦だった。彼はすぐに携帯を背広のポケットから取り出した。

「ほらあ」


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る