僕の永久

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第1話

ただ名前が欲しかった。

僕のことを誰も何も気にしない。

僕は無意識に誰かを求めていた。


名前があれば、誰かが振り向いてくれると思っていた。 僕が誰かを求めるのは本能故か、それともそれが運命だったのか。


ひとつ確かな事として言葉にするならば….僕はこの世界において、居てはならない存在だということ。


そう、僕は…この世界に産まれ落ちた汚点だったのだ。消されるべきだった。いや、自分から消えるべきだったのかもしれない。


それを僕は拒んだ。 そして、また独り暗闇を歩く。 誰にも見つからぬように。誰かに悟られぬように。


悟られれば、きっと僕は生きていけない。それが世界の掟だから。




そしてそれは、ここから始まった。


この長い通路を抜けた先、僕の居場所であった場所。或いは僕の存在意義を、本来の生きる理由を曲げた場所。




僕は僕を許せなかった。そして僕は、これを仕向けた誰かを恨んでいた。このツマラナイ、逃走の果てに一体何があると言うのだろうか。僕はそこに大した意味があるとは思えなかった。


誰も彼もが、この世界では異質である僕を怖がるどころか見向きもしない。僕はここ居ると、そう叫んでも誰にも届かない。


トットットッ


走り出す僕の足音は小さくて、誰かに聞かれることも無くて、僕という特異の存在は群れの中では生きていけなかった。


それ程までに僕は小さく、非力だったのだ。僕は親の顔を知らない。この世界に落ちた時にはもう、記憶を無くして隣には誰も居なかっただけだ。




走り出した僕は、もう止まらない。


いや、止まれなかった。この歪にできた世界から必ず逃げ出す為に、僕は何度も何度もこの光景を繰り返していた。



(未来予知)


これが僕の1つ目の能力だった。


この世界の掟の1つであり、その掟は僕に能力をくれた。能力は無限大にあり、僕を強くする為に何十何百もの試練を用意された。いや僕を強くさせる為では無く、寧ろ僕はその世界での実験台だったのかもしれない。


◆◆◆


僕には僕の存在を否定してくれる世界が欲しかった。 僕の存在意義を肯定してくれる世界が欲しかった。


だから、そう願ってしまった。


『僕をこの世界とは違う、この世界とは関係のない世界へ。僕を僕だと認識しない世界へ連れて行って。』


きっと誰かの戯れだったのだろう。

僕の願いは成就された。



ただ 僕は

「何かを守るヒーローになりたかった。」

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