最後の王女 = 天使と死神の物語=
あきこ
はじめに
♡♡♡これまでのお話と物語について
特別な仕事とは、政府の裏の仕事を請負い処理するというもので、その時代時代に応じ、調査、扇動、そして暗殺と、表には出せない仕事を人知れず行っている。
このように諜報活動を生業としている彼らは平安の時代から天皇家を支えて来た。
平安の時代には同じような仕事を生業としている一族が10家門以上存在していたらしいが、時代の流れの中で自然と淘汰されていき、今では随分と数を減らしている。
いまだに、大きな力を維持し、変わらず政府が依頼してくるような大きな仕事を請負う実力と体力があるのは、早瀬家と吉良家の2家門のみだ。
その他の家門は、探偵事務所や法律事務所、そして小さな警備会社などを立ち上げて一般向けの商売に鞍替えしていおり、自分達の家のルーツを理解している者ももうほとんどいない。
早瀬家は明治維新以降、皇族直轄で軍部に近い所で裏の仕事を請負い、当時はかなり黒い仕事もこなしてきた。
早瀬は第二次世界大戦後、表向きの事業として土木建築業を立ち上げてはいるが、現在もほぼ裏の仕事のみで一族と昔から従ってくれている者達を養っている。
早瀬は、この業界の中では暗殺を得意とする集団として裏の国際社会にも知られており、各国の軍部やスパイ達にもいちもくをおかれていた。
一方、吉良家は明治維新以降、海紅商事という商社を立ち上げ、商社を利用した諜報活動や市民扇動、外交交渉、そして要人暗殺と……多岐にわたって政府に貢献してきた。
吉良の方は早瀬と違い、隠れ蓑である海紅商事のビジネス展開にも力をいれており、優秀な一般人をスカウトするなどして海紅商事を世界的な企業に発展させた。
そして、裏の仕事を行う部署を海紅商事の組織の中に組み込んで、上手く諜報活動を行っている。
令和になった現在も、吉良と早瀬は、表でそれぞれの会社を経営しながら、特殊なシークレットサービスを提供する組織として、内閣調査室と連携して表に出せない仕事をこなしているのだ。
彼らは政府のどこの機関にも属してはいないが、内閣調査室からライセンスを発行してもらうことで正式なエージェントとしての身分が保証され、活動が認められる。
内閣調査室から発行されるライセンスには等級があり、その等級に見合った権利を使う事が出来る。
低い等級のエージェントでも、仕事で必要ならば、警察官や外務省職員だと名乗る事を許され、身分証の発行もしてもらえる。
そして、最高クラスのエージェントになると、外交特権も与えられるし、決して表に出せない暗殺権も与えられるのだ。
早瀬家と吉良家は得意分野が違う事もあり仕事で協力し合う事が多く、よくホームパーティー等を開いたりして密に交流していて、とても仲が良かった。
そういう事もあり、早瀬家の次男である良平と吉良家の長女である直美は、親達によって婚約させられていた。
婚約が決まった当初はまだ子供だったふたり。
成長と共に、お互いを意識する気持ちは強くなるが素直になれずにいた。
そんな中、突然早瀬家の長男
剛はR国での仕事で大怪我をしたのをきっかけにドラッグに溺れた。その事で早瀬の当主である父親から勘当されていたのだ。
剛は弟の良平に早瀬の次期当主の座を奪われたという悔しさと、昔から想いを寄せていた直美も良平に与えるのかという歪んだ思いから実の父親と実弟の良平を酷く恨み、実家である早瀬の襲撃を企て実行したのだった。
しかし、良平は大怪我をしながらも吉良の出先機関に逃げ込み、ひとりだけ何とか襲撃から逃れ助かった。
吉良家で傷を癒し世話になっていた良平だったが、別の隠れ家にいて難を逃れた早瀬の仲間達が迎えに来て吉良家を去る。
そしてその時、良平は直美を無理やり連れ去った。
良平が直美を連れて行ったのは、直美に思いを寄せている剛から保護することが目的だったがそんなことを知らない直美は、誘拐されたと思い良平を警戒し、ふたりはぶつかり合った。
しかし、幼馴染でお互いの性格をよく分かっているふたりは、次第に距離を縮めていき、協力し合うようになる。
一方、良平が吉良家に逃げ込んだ事がわかった剛は国外へ逃亡した。
良平は剛をすぐに追うことはせず、剛の日本国内での力を削ぐ為に、先ずは日本に残っている剛の協力者グループを捕まえることにし、吉良の力を借りて敵の隠れ家の襲撃を行い成功した。
その後良平は、まずは早瀬を再興しなければいけないと、生き残っている仲間の保護や資金集めに奔走する。
しかし、早瀬襲撃以前に依頼を受けていた仕事をこなせなくなった事で命を狙われたり、高額な違約金の支払いをする羽目になったりと、なかなか落ち着かない暮らしをしていた。
そんな中、良平と直美は相変わらず喧嘩しながらも、長きにわたっての誤解も解け、距離を確実に縮めていく。
いろんな問題を抱えながらも……
良平は今日も早瀬を再興すべく奮闘中である。
※本作は「ガラスの絆」の続編で、”天使と死神の物語”シリーズの2作目になります。
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