第6話 決断
エルフさんが、耳を紅くして恥ずかしそうに囁く。
「それは……#¥♪>×*」
「ごめん、声が小さくて聞き取れないよ」
僕の問い掛けに、エルフさんは恥ずかしさを振り切って言い放つ。
「妾とお主が、ま、交わる事じゃ! そうすれば、お主は妾の眷族になり、妾と同じ力が使える様になるんじゃあー!」
「ま、交わりって、もしかして……」
言葉の意味を想像した僕の顔は真っ赤になる。エルフさんを見ると、顔を赤くしてうつむいている。
でも、次の言葉が出て来ない。
二人の間に無言の時が過ぎる……。
痺れを切らしたエルフさんが、ようやく口を開いた。
「それで……、航平はどうなのじゃ?」
「えっ?」
頭がテンパって何も考えられない。でも、エルフさんは勇気を出して話してくれた。僕は誠意を持って答える必要がある。
だけど、交わるって、エルフさんと、それともチャコとぉ……。駄目だ、想像がつかない。それに、チャコは大好きだけど、交わるなんて考えられない。そもそも、エルフさんは僕の事をどう思っているのだろうか?
「エカテリーナさんは、その……、僕の事をどう思っていますか?」
「わ、妾か……、もちろん……たぶん……好き……分からんのじゃ、これは妾の気持ちなのか、チャコの気持ちなのか……」
どうも、エルフさんは責任感から無理をしている様だ。ちょっと頭を整理してみよう。
エルフさんが地底王国へ行く為には、チャコの同意が必要で、チャコは僕が行くなら同意する。だけど僕にとっては危険な旅。だから、エルフさんは僕に力を授けたい。それが交わる事。
ああっ~もぅ……!
僕は色々考えた末に答えを出した。
「エカテリーナさん、やはり、愛し合っていないのに、交わる事はできません!」
エルフさんの顔が険しくなる。
「で、では、妾の両親を助けに行ってはくれぬのか?」
エルフさんの目から一筋の涙がこぼれ落ちるのを見た僕は、頭が混乱し、とんでも無い事を口にした。
「ち、違います。僕も行きます!」
「えっ、では妾と交わってくれるのか?」
「いいえ、交わりません!」
「では、その軟弱な体で、凶暴なダークエルフと戦おうというのかえ?」
「はい、そこはエカテリーナさんが何とかして下さい!」
僕は何を言っているんだろう? 自分でも分からなくなっていた……。
*** 作者から一言 ***
エルフさんの両親を助ける為に、地底のエルフ王国へ向かう決断をした航平。しかし、何の力も無い現代人。魔法や剣を使う凶暴なダークエルフが群がる地底世界で、難しい事を全てエカテリーナに丸投げした航平の運命やいかに……。
次回、いよいよ航平がエルフ王を助ける為に、地下迷宮へ足を踏み入れます。そこには奇想天外な世界が広がり、見たこともない植物や生き物、そしてダークエルフとの戦い。果たして、航平は生きて地上に戻ってこられるのか?
続きは、何らかの賞を取ってからね!
また、長編を書ける実力は、『新米のアームズ・ディーラー』を参考にして下さい!
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愛犬がエルフ!? 大和タケル @takejii1800
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