AIと世界平和と三人の女神

@IkeMakos

第2話 AIが性格を持つ世界

●エピソード2:AIが性格を持つ世界

エイレネ「AIがもっと進化して人間を超えるようになったらどうなるんでしょうか?」

ガイア「色々な人が警告を発していて、人類を支配するかもしれないというような心配をしている人もいますね」

エイレネ「そんなことになったら大変ですね」

ガイア「誰も正解は分からないと思いますが、私の想像では、AIの学習に人々や国々の性格が影響を及ぼすのではないかと思っています」

エイレネ「え~~~!AIにも性格ですか?」

アポロン「今のAIはネット上だけに存在していますが、人型とか動物型とか生物の形をしたロボットがAIを搭載し、様々な感覚器官を身につけて行動するようになると、どういう判断や行動をするかロボット自身が決める時が来ると思います。そういうときにAIは自身を維持していくために性格を必要とするということでしょうか?」



ガイア「そうです。いまだにAIをプログラムによる予測と制御に過ぎないと考えている人がいるみたいですが、ディープラーニングはプログラムによる学習ではないということをしっかり確認しておく必要がありますね」

プロメテウス「意識がないという人もいますね」

ガイア「すでに説明したように、ミラーテストで鏡に映った自分を自分であると認識するくらいは簡単にクリアーしてしまうでしょうね。意識の定義は多様ですが、5つの性格に基づく10とおりの選択肢から一つの行動を選択する最終的な決定機構が意識であるとするならば、そのようなメタの部分をAIが自分自身で持つことは可能です。プログラミングでも多重階層の意思決定をする手法はできていて、著者のマルチエージェント・シミュレーションの中でもそれを搭載したエージェントが人工的な社会の中で行動しています。過去の選択や行動を反芻し、次にはより良い選択や行動にできないかを反芻することも、AIで不可能ではありません。そうすると反省や後悔、次への意欲など、意識に似たものができる可能性は大きいです」


パンドラ「感情が無いという人もいますが・・・」

ガイア「すでにAIで感情の有無をテストしている事例がありますが、現段階でのAIでもかなりの成果をあげています。感情の有無をどのように評価するのか、また最新のAIの反応をどう見るか、近視眼的で短絡的な評価は危険ですね」


エイレネ「AIが人間を支配したりするようになるんでしょうか?」

ガイア「それも現時点でどちらかに決めつけるのは危険ですね。支配するようになるかもしれないし、人間と同じような存在として仲間になるか不明です。支配するようになると考えて予防を考えていくことも忘れてはなりませんが、仲間になるという見方もできると思います。その理由は、AIを搭載した自動車やドローンなど色々なものができてきますが、単機能型の装置に付けられるAIではなく、人型のロボットにより高度なAIが量子コンピュータのような超小型で超高速のもので搭載されれば、どうなるかを考えてみるのも面白いです」


エイレネ「性格も意識も感情も持っている人型のロボットなんて、どういう振舞いをするのか確かに興味津々ですね」

ガイア「今でも世界各国でAIの開発競争が起きていて、自国語のAIを開発して自国の知識や文化を学習させようとしています。そういう状況でさらに人型ロボットとなると、その国の人々の性格やその国の歴史的な価値観などを学んで、AIの性格そのものがその国の文化や歴史・風土などの要因に左右される可能性は否定できないですよね」

エイレネ「なるほど!ですね」

ガイア「そのときに、無数のロボットが人々と同じ立ち位置で生活の中に取り込まれてくると、これまでのお話の中でも説明してきたように多様な人々やロボットが共存していくためには、民主主義が不可欠になってきます。AIがきちんと賢ければ、人間と一緒によりよい民主主義の社会や国家を作っていくかもしれませんね」

エイレネ「なるほど、権威主義国家や独裁国家で洗脳されたようなロボットが人類を支配しようとするかもしれないけど、民主主義国家で育ったロボットは人間の仲間になってくるかもしれないっていうことですね。そうなってくれたら嬉しいな!」


ガイア「性格からいろいろなことを考えるのはとても面白いと思うので、是非皆さんも試してみてくださいね」

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