第46話 不思議な女
人買いから救い出した三人の女、下から10歳、15歳、二十歳過ぎ、食いつめた貧農の娘達だろう、このまま元の村に返してもまた売られるだけだし、ボクの商会で面倒をみてやるか、
四角い顎で大きな鼻のいかにも田舎の少女がボクの前に連れて来られた、
「……それではカタリーナ、お前の親は何をしていたのかな?」
「おっとうもおっかぁも行商人でした」
これは面倒だ、過去は消し去った方がこの子の為だろう、
奴隷契約にかかわらず、相手に自分の意思を押し付ける事が出来る隷属スキル、奴隷達の過去を清算出来るので便利な能力、
だが誰にでも効く物ではなく、自分よりも身分が下の者にしか通用しない。
「!!カタリーナ、お前に親はメイドだ!!」
「はい、わたしの親はメイドでした」
「母親の顔を思い出せるか?」
一生懸命考えている小さな女の子、大人と違って子供はボクに襲いかかって来ないから安心だ、ボク専用のメイドにしようか?
だけどオスヴァルトがなんて言うかな“小さい子が好き”なんて言うのはおかしいのかな?
ボクの隷属スキルで過去を消した女の子は部屋を後にする。
「隷属スキルとはたいしたものですな、レオポルト様」
「ああ言う小さい子はすぐに効くから楽だよ、どこに売れば良いかな?」
「顔がアレでしたので、下働きの使用人くらいしか思い浮かびませんな、もっともレオポルト様の“術”を使えば好事家に売れるかもしれませんが」
そのボクがまさに好事家なんだよ、小さい子と一緒にいたいなぁ~
「しばらくは様子見しておこう、あと残っているのはミヤビと言う女だけだな」
「はい、レオポルト様、あのミヤビと言う娘は貴族の生まれで間違いありません」
「だとしたら隷属スキルが効かないかもしれないな」
「あの者頭が切れます、商会で取り込んでおくべき人材だと思いますが」
「その様に勧めたのか?」
「いえ、聡明な者には下手な説得は逆効果になりますゆえ」
ボクの部屋にやって来たミヤビ、変わった服を着ているし立ち振る舞いが平民ではない、貴族かそれともボクみたいに爵位の無い家の出の者か、
「始めましてミヤビと申します」
「うむ、それがしはレオポルトと申す者だ」
「レオポルト様、わたくしミヤビを奴隷にしていただけませんか?」
「うむ、わかった」
良かった、ボクの奴隷契約を受け入れてくれた、彼女は遠くの国の貴族の出だと言う事は間違いないだろう。
「……それじゃ年に何着も服をあつらえたのか」
「年というか、気に入った服やバッグがあればすぐに買ったわ、欲しい時が買いたい時、ってことわざがあるでしょ?」
「なかなか裕福な家の産まれのようだな」
「わたしが自分で稼いだお金よ、親の金なんて一切使っていないわよ」
「ミヤビは仕事をしていたのか?」
「君ねぇ、わたしみたいな若い娘が好き放題贅沢出来るとしたら、仕事は一つしかないでしょ?」
何を言っているのだ、理解出来ない、効くかどうか分からないけど隷属のスキルを使ってみるか、
「そうか、ミヤビとやら、親の顔を思い出せるか?」
「ここ数年は顔を合わしていないけど、覚えてはいるわよ」
「!!母親はお前を産んですぐに死んでしまった!!」
「ちょっと、君はわたしの話覚えてないの? 親はまだ生きているわよ」
ボクの事をダメな子を見る様な目で見るミヤビ、ダメだこれではどっちが奴隷かわからない、話は打ち切ろう、
「そうだったな、ボクは奴隷商人でお前はボクの首輪を受け入れた、どこに売られても文句は無いな」
「文句は無いけど、希望は有るわ」
「なんだ?」
「わたしは娼館に行きたいの」
誰もが嫌がる娼館に行きたがる女奴隷、世間知らずの貴族のお嬢様か?
「そうか、オスヴァルト、この娘は娼館に行きたがっているのだが、どうかな?」
「難しいでしょうな、歳は二十歳をとっくに過ぎておりますし、
教育があるから貴族の侍女辺りがよろしいかと思いますが、売り込みに行って売れる物でもありません、引き合いが来るまではお館で教育係でも任せたらいかがでしょうか」
「うむ、そう言う事だ」
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