第22話 メイド買い
エステファニア様の言葉に従い、レオポルト様達と奴隷オークションにやって来た、遠征に行かなくても奴隷を手に入れる方法だから悪くはないわ。
出品者は様々、奴隷商人が自分の専門外の奴隷を買った場合とか、稼業を畳むので使用人を手放す場合、そして不要な奴隷を処分する場合など、
そんなオークション会場はサロンの様な雰囲気、参加できるのは奴隷ギルドに加盟している商人だけだから談笑しているのは同業者ね、わたし達と競り合わないでね。
オークションの最初は一般奴隷、肉体労働に従事する男性をそう呼ぶのよ、
「テオ、14歳、初物、一般奴隷」
何の感情も無い言葉が会場に響くと、上半身裸の男性と言うか少年がステージ真ん中に歩いてくる、
「商人の皆さま方、本日はお忙しいところをようこそ、本日のオークションでは皆さまが満足する奴隷がたくさん出品されますよ、
まずはこちらのテオ、山奥の村で育ちましたから身体の丈夫さは折り紙つき、見てください、この太い二の腕、そして何より初物でございます……」
派手な服を着た司会者が調子の良い事ばかり言って場を盛り上げている、
わたし達が買う事はない奴隷だけど、売り方に興味がある、オスヴァルトさんの説明によれば、最初の無感情な声は奴隷の情報を公開、これは法律で決まっているそうよ、
その後のうるさい司会は、まぁオークションを盛り上げる為の狂言回しね。
「…オスヴァルトさん、三人目の奴隷の紹介では2回目、紹介状有りって言っていましたが、どう言う意味ですか?」
「主人を2回替わったと言う意味です、紹介状は最後の主人が書くものですよ、あまりに働きが悪い奴隷は紹介状を貰えずオークションに出されます、その後はどうなるか、わかりますよね」
奴隷になれば衣食住保障と言うハードな世界の天国みたいな場所だと思っていたけど、働きが悪ければ売りに出される、何回も主人が替わる様な奴隷は買い叩かれ苛酷な職場に送られる、
ファンタジーの世界は想像以上に世知辛い。
その後は特殊技能を持った奴隷達の番、メイドとか侍女、家庭教師等が出品されるそうよ、
「メリッサ、13歳、初物、母はメイド、生活魔法有り」
身体が貧相で鼻のめくれた田舎娘、けど胸には大きなオレンジ色、黄色は接客全般だけど、オレンジは使用人としての適正が高いわよ、
しかも生活魔法も使えるなんて、これは買いね!
「こちらの娘、メリッサはまだ13歳、母もメイドの奴隷でした、もはや生粋の奴隷と言っても良いでしょう」
レオポルト様を肘で小突くと、童貞坊ちゃまはろくに商品を見もしないで手を上げた、
数回競り合ったが、わたし達は最後まで粘ってメイドをゲットよ。
◇
「さぁ、後段は戦闘奴隷です、最初はこの男、ボジェック! 見てくださいこの筋肉、彼なら徒手空拳で中層魔物を倒せるでしょう、
迷宮に連れて行くにもよし、護衛にするにもよしです、それだけではありません彼は槍術の……」
筋肉ダルマみたいな男の奴隷が延々と続くのだがみんな盛況だ、面白いのはガッチリ筋肉タイプでも胸の赤い球が小さかったり、外見はそれ程でなくても
大きな赤い球が見えたりする、これが“外れ”だったり“当たり”だったりするのね。
それでも奴隷商人達は活発に手を上げ、せり値を引き上げている。
「マリーナ、マレイセ、初物、12歳、戦闘奴隷」
むさくるしい男ばかり続いたと思ったら、幼い双子の女の子が出て来てビックリした、
「……皆さん、戦闘奴隷が活躍するのは迷宮だけではありません、ベッドの上で主人を守るのも大切な役目、これからご紹介するのはそんな者達~」
貧相な身体をした双子の少女、情けないたれ目と、手入れなんてしたことの無いような、ボサボサの髪。
「…この女性戦闘奴隷、12歳まだまだこれから伸び盛りの奴隷が二人もです、この鋭い顔つきを見てください、
戦士らしく締まった身体は成長性を感じさせますね、もちろん夜の方も大丈夫、しっかりと躾をしてあります、
それでは銀貨30枚から~」
先程まで活発に手を挙げ、声を張り上げていた奴隷商人達も、ダンマリだ。
司会は場を盛り上げようと精一杯頑張っているが、この娘を買うのは勇気がいる、わたしの目には2人の胸元に大きな赤い球が見えているのでレオポルト様を肘で突く。
「35枚!」
レオポルト様が一斉に注目を浴びる、
「はい、35枚出ました~ 他有りませんか?」
銀貨35枚で競り落とした戦闘奴隷、銀貨がだいたい1万円だから一人当たりの金額は……
ダメダメ、前の世界の常識は忘れて今はオークションに専念よ、そんなわたしの耳に同業者達のヒソヒソ声が聞こえてきた、
“おい、素人が紛れ込んでいるな”
“あいつだよ、ルードルフのせがれだ性奴隷専門の”
“ああ、性奴隷と戦闘奴隷を勘違いしたんだな”
“どっちにしても、あの娘達を仕込むのは手間だな……”
あなた達聞こえているわよ、それともわざと?
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