ロリコンおじさん身なりを整える

「まずデートに必須なのは清潔感!そしてスマートでクールな振る舞いだからね。」


そう言われ俺は今着せ替え人形になっている。女装の姿で出かけようと思ってたから、特に気にすることないと思っていたが、どうやらダメらしい。相手も男なんだけどな


「あのぅチホさん…そろそろいいんじゃないの…」


「ダメダメ!真剣に選んでやっと、デートの土俵に立てるんだから」


女の人の買い物に付き合うのめんどくさいと思うが、この子も男だった。と言うかなんでチホちゃんは女装してるんだ。今プライベートだぞ、まさか休日もずっとこうなのか


「って!ねぇ!」


「はいっ!」


「ずっと聞いてるんだけど!どっちがいい?私はこの青がいいと思うんだけどさ、このスボンに合わせるならこっちの黒かなって思ってるんだけど。」


「どっちでもいッ…」


この言葉を発したら、チホちゃんに女の子の気持ちが分かってないだの、せっかく付き合ってあげてるのになど色々言われてしまいそうだ。よしここはこれだ!


「ッ、試着したいです。それでよかった方買うよ」


「へー分かるようになったんだ、乙女心。女の人と関わるのってやっぱり大事だよー」


よかったーなんとか怒られずに済んだ。正直どっちでもいいんだけどまぁ、試着するに越したことはないからな。


「じゃぁ着てくるね」


普段は絶対選ばないような服だから、自分の中の違和感は凄いけど、確実に小綺麗には見える。男の状態だと化粧で武装したり髪型を変えたりできない分、更に服で清潔感を出す必要があるのか。


「どうー着れたー」


「じゃぁ出るね」


「いいんじゃないの?」


もっと感想あるだろ、どこがいいとかここがポイントとか、褒めてくれよ。


「俺はこの色がいいと思うんだけど、どう?」


「うん、それにしたら?」


何だよその淡白な感じは、あっさりしすぎだろ。さっきまで饒舌に語ってたじゃないか。


もしかしてこれがいわゆる男女の差ってやつなのか。今俺が欲しいのは感想と褒め言葉だ、いい感じってのは分かってるからそこから派生した、感想や意見が欲しい。


あとこれは今までの人生でずっとやってた行為じゃないか!このどう?と言う言葉は褒めてくれの合図だったりするのか。この間に、気づいたポイントを言うのが出来る男の印だからな。


「分かった初めて気づいた。チホちゃんありがとう、俺今度から女の子と接する時はめちゃくちゃ褒めるよ。」


「?マジでなんの事かわかんないけどよかったね、レジ行ったらいいよ。」


「またまた〜チホちゃんは、男の適当で心がこもってない感じを再現して、俺に乙女心を分からせようとしてくれだんだろ。」


「そうなの?いい加減飽きてきたから早く終わらせたかっただけなんだけどね」


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