電話詐欺おじさんの過去
僕テルミはこの店の最古参だ。色んな人の人生を近くで見てきた、華やかな人やそうでない人まで。今日はこの2人に僕の過去を話す、ちょっと照れくさいけどね。
「同期の話をしようか。」
僕はこの話をする時は立ち話ではなく、椅子に座りゆっくり話す。
「彼は別に犯罪者じゃなかったんだ、今は犯罪者予備軍の女装キャバクラみたいな感じだけど、最初は普通の男もいたんだ。同期は10人くらいいてね、半分くらいが普通の男だったよ。」
「そんな過去もあったんですね、俺知りませんでした。」
「まぁ無理もないよ、ほんと初めだけだったし。でね同期の1人と仲が良かったんだ。初めは犯罪者予備軍だからか誰も話しかけて来ないし、孤立状態だったんだ。その子が俺に話しかけてくれたんだ。」
「なんでこの店に来たと思う〜だって、知らねぇよって感じだったけど向こうが、グイグイ来るタイプでどんどん仲良くなって
正直、人を信用出来るタイプじゃなかったから自分こんな喋れたんだとか、笑えたんだとか思ったよね。」
両親も不仲で少年院に入ってたから、人とフレンドリーに話せるのが嬉しかったんだ。
「で、結局この店に来た理由教えてくれないし、なんだコイツって思ってたけどその内分かるって言われてさ、訳も分かんないまま呑気に過ごしてたんだよ。」
「その日もさ、普通に仕事するかって思ってたんだ。そしたら急にその同期が仕事バックれてさ、そんな事する奴じゃないって思ってたんだけど、その日は放置しちゃったんだよな。そしたらアイツがこの店に来てる理由が分かってさ」
「病気だった、結構大きめの。手術するのに莫大なお金がいるんだってさ、オーナーが大慌てで僕たちを呼んでアイツに急いで連絡しろって、けど誰の連絡も出なかった。だから僕が家に突撃してさ、さながらドラマみたいだったよ。アイツの名前玄関で叫びまくってさ。」
あの時は喉が潰れるかと思った、人生で一番叫んだんじゃないかな。
「異変に気づいた大家さんに合鍵もらってさ、部屋の中に入って必死で叫ぶの、この僕がだよ。大丈夫かーおーいって、そしたら目の前にいたの。大慌てで救急車呼んでさ人生初の救急車同行したの。病気に着いた時には意識不明で色々ヤバい雰囲気漂ってた。」
「それでアイツの診断書みたいなのを僕が見せられてさ、全然わかんないけど、きっと健康では無いんだろうなって感じだった、教科書の病気の例に出てくる写真のままみたいな、実物を目にするとやっぱ怖かったな」
「で程なくして、もうこれ以上は…って話になってアイツ家族いないって話は知ってたからオーナー呼んで僕と2人で最期を見送ったの。」
「ってそんな刺激的な話じゃなかったね」
2人が期待してた話じゃないのは明白だと思う、もっとヤクザとの抗争とかを期待してたに違いないし
「テルミちゃん先輩、凄い体験してる!マジでテレビとかでしか聞かない話経験するのって中々無いし。」
以外な反応チホちゃんはドンパチが好きって訳じゃないのね、勉強になった。
「友情ですね!素敵です」
リコちゃんもいい反応で嬉しい
「じゃぁ、今度は私の武勇伝とか話しちゃおっかなぁ〜」
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