第11話 ミコとメタバース

メタバースでの再会の日、私、ミコは緊張と興奮の入り混じった気持ちでログインした。デジタルな世界でyoichiと再び交流できることに、新たな可能性を感じていた。彼との会話がどのような方向に進むのか、心待ちにしていた。


約束の場所に到着し、すでに待っていたyoichiのアバターを見つけたとき、私は思わず笑顔になった。しかし、yoichiのアバターは少し固く立っており、彼がまだこの仮想空間の操作に不慣れであることが伝わってきた。


「yoichiさん、こんにちは!メタバースでお会いできてうれしいです。」私は明るく声をかけた。彼のアバターは、緊張した様子で僅かに動いたが、デジタルな表現に制限があるためか、微笑むことはなかった。


会話が始まり、私たちは自然と、サミットでの経験や、それ以来の活動について話し合うようになった。yoichiは自然保護活動について熱く語り、私はVTuberとしての日々や、ファンとの交流について共有した。この異なる背景から交わされる話題は、互いにとって新鮮な発見となった。


途中、私はyoichiに向けてちょっとした提案をした。「実は、yoichiさんに小さなことですが、共有したいものがあります。」と言って、私は彼に私のアバターのデザインを共有した。これはサプライズというより、メタバースでの交流をより楽しんでもらいたいという思いからの提案だった。


yoichiは、私の提案に少し戸惑いながらも、興味を持ってくれた。「えっ、本当にいいんですか?でも、どうやって使うんですか?」彼の反応に、私は優しく笑いながら操作方法を説明した。彼が私のアバターのデザインを使ってみると、その新鮮さに二人で笑い合った。


「mikoさん、これは面白い体験ですね。ありがとうございます。」yoichiの言葉からは、新しいことに挑戦する楽しさが伝わってきた。そして、私たちはさらに多くの話題について熱心に話し合った。この交流を通じて、私たちの間には理解と共感が深まり、メタバースでの経験が私たちの絆をより一層強固なものにしていった。


別れ際、yoichiとは再びこの場所で会うことを約束した。ログアウトする際、私の心は暖かい光で満たされていた。この再会が、私たちの関係を新たなレベルに引き上げ、私のVTuber活動にも新しいインスピレーションを与えてくれることを感じていた。

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よだかの推し ~デジタルネイチャーの絆~ 不可解な鱶 @cryptic_shark

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