第5話 ミコとyoichi

デジタルネイチャーサミットの会場では、参加者たちの期待感が高まっていた。サミットが始まると、みいこは夜鳴ミコとしてステージに上がり、参加者たちに向けて挨拶を始めた。「こんばんは、夜鳴ミコだよ。今日はこの素晴らしいサミットに参加できてとても嬉しいな。デジタルネイチャーについてはまだピンと来てないけど、なんかすごそうですね!」彼女の声は少し緊張していたが、参加者からは温かい拍手が送られた。


その後、プレゼンテーションが始まり、様々なスピーカーが登壇した。中でも、みいこはyoichiという人のプレゼンテーションに興味を持った。

「鳥類や森林のデータをNFT化することで、生態系保全のための新しい資金調達となり・・・」

内容は難しかったが熱心に語るその声にみいこは何か感じるものがあった。


発表がすべて終わり懇親会が始めると、ミコは来てくれたフォロワーにお礼を言ったり少し話した後、yoichiを探した。yoichiのデフォルトに眼鏡を掛けただけのアバターを見つけるのは難しいと思ったが、彼は独りで佇んでいたのですぐに見つかった。「yoichiさん、発表興味深かったです。だけど私あまりよくわかっていなくて…、NFTとかについてもっと詳しく教えてください」

yoichiはアバター越しでも分かるくらい戸惑っていたが、ややあって

「ありがとうございます。NFT化されたデータは、ブロックチェーン技術によって、データの透明性が保たれ、それぞれのデータに独自性が保証されるんですよ。そのためデジタル資産としての価値があり、それを通じて自然保護活動に資金を集めたりできます」

それから全くの素人であるミコに対してもyoichiは丁寧に解説してくれた。


ひとしきり話し終えた後、「連絡先交換しませんか?また話を聴きたいです」とミコは言った。

yoichiは少しの間を開けて、

「いいですよ、えっとどうやるんですか」


「こうやって、はいできましたね。ぜひ私のチャンネルも見てください、ではまた」


現実世界に戻ったみいこは呟いた。

「また会えるかな?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る