第2話 王都への導き

老人の案内で、ユウマたちは石畳の道を進んでいった。周囲には緑豊かな森が広がり、遠くには壮大な山々がそびえ立っている。空気は新鮮で、未知の世界の息吹が彼らの肌を撫でた。


彼らが進むにつれて、エルドリアの村が近づいてきた。家々は木と石で造られており、彼らのいた世界とは異なる温かみを感じさせた。村人たちは好奇心の目でユウマたちを見つめ、子供たちは隠れながらも彼らの様子を伺っていた。


「すごい…こんな場所が本当にあるなんて…」アイコが感嘆の声を上げる。


「でも、一体どうしてここに?」タケシが不安げに呟いた。


ユウマはその言葉に答えることができず、ただ前を歩く老人の背を見つめた。老人はエルドリアの王都へと彼らを導いていた。その姿は、どこか遠い世界の物語から飛び出してきたようにも見えた。


やがて、ユウマたちは巨大な城の門前に立った。城は石で固められており、その壮大さには圧倒されるものがあった。門が開き、彼らは厳かな雰囲気に包まれた王の間に案内された。


「これより、エルドリア王国の国王、アルバート・フォン・エルドリア陛下に謁見する。」


老人の声が響くと、ユウマたちは一列に並び、王の前に進み出た。王は立派な衣装を身にまとい、彼ら一人一人を厳しい目で見つめた。


「異世界から来た者たちよ、我がエルドリアにようこそ。あなた方の存在は、この世界に新たな風をもたらすかもしれません。しかし、そのためには、我が国の文化と法を学び、この土地で生きていく術を身につける必要があります。」


王の言葉は重く、ユウマたちはその意味を理解しようとした。彼らはこの新しい世界での役割と、王の期待を感じ取りながら、自らの運命について考え始めた。


謁見が終わると、彼らは城から村へと送られた。新たな生活が始まる。村での最初の夜、ユウマたちは集まり、今日一日の出来事を語り合った。


「ここで、何をするべきか、まだ分からないけど…」ユウマが言葉を選びながら話す。


「でも、一緒にいれば、何か答えが見つかるかもしれないよ。」エミが励ましの言葉をかける。


ユウマたちはお互いを見つめ、新しい世界での冒険が、今始まったことを実感した。未知の土地、エルドリアでの生活が、彼らを待っていた。

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