第9話 検索が思った以上にチートスキルだった件


「えーっとまず何から調べればいいだろう……」


 そもそもだけどスキルとか職業ってなにさ?

 それに経験値とかレベルとか。

 こういう曖昧な質問でも大丈夫なのだろうか?

 とりあえず私は『検索』で調べてみることにした。


≪『職業』について≫

≪カオス・フロンティアにおけるスキルを発現する為の職務。これを取得することでスキルを使うことが出来る。職業は最大LV10まで上げることが出来、レベルが上がる程に付随するスキルの効果も高まる≫


≪『スキル』について≫

≪カオス・フロンティアにおける能力の一種。人、動物、モンスター問わず様々な生物がこれを取得することが出来る。取得方法も様々で、職業に就く、取得条件を満たす、スキルに関する経験値が一定に達する、初期獲得スキル欄より取得するなどがある。スキルは最大LV10まで上げることが出来、レベルが上がる程に威力・効果は高まる≫


≪『経験値』について≫

≪生物にダメージを与える、もしくは一定の行動やスキルを使用することによって得られるエネルギー。肉体、魂に蓄積され、一定に達すると職業、スキル、生物としてのレベルを上げることが出来る≫


≪聖騎士について≫

≪騎士の上位派生職。取得条件は騎士をLV10にする。もしくは一定数以上のアンデッドを倒すか、一定レベル以上のモンスターを倒すこと。ステータスの全項目及び五感が上昇する。力、魔力に成長補正。スキル『剣術』、『纏光』、『聖属性付与』、『浄化』を取得出来る。感知スキルには及ばないが多少は生物の気配を察知できる≫



 お、おう……予想以上に詳しく教えてくれた。

 凄いね、これ。

 グー〇ルさんとかウィキ〇ディアさんみたいだ。


「てか、カオス・フロンティアってなによ?」


 そういえば最初のアナウンスでもそんな単語が出てたような気がする。

 打ち込んでみると、あっさりと答えが出た。


≪『カオス・フロンティア』について≫

≪二つの世界が融合した新たな世界の名称。二つの世界の融合率は現時点で11%≫


 二つの世界……?

 もしかしてモンスターが居る世界と私たちの世界が融合したってこと?

 それに融合率ってことはまだ完全に混ざり合ってないの?

 

「一つ調べれば、次々分からないことが出てくるわね……ッ」


この世界の事とか、スキルの効果は調べたいけど、そんな時間はなさそうだ。


「……嫌な気配がするわね」


 近くから感じる不穏な気配。

 先程までは感じなかったのだが、今は妙に気配に敏感になっている。

 もしかしてこれが職業『聖騎士』とやらを取得した影響だろうか?

 生物の気配を察知できるって言ってたし……。


「行こう、ハルさん」

「みゃー」


 するとハルさんは前脚で剣をぺしぺしと叩く。

 これ、持って行かなくていいの? と言っているようだ。


「確かにこれがあれば心強いけど、抜けないんじゃ意味が――あれ?」


 なんだろう、この感じ……。

 今なら、この剣が抜ける気がする。

 さっきまではそんな感じ、全然しなかったのに妙な感覚だ。

 試しに引き抜いてみると、あっさりと地面から抜けた。


「あれ? 何で?」


 どうして急に抜けたんだろう?

 それにこの剣、驚くほどに手に馴染むし、軽い。

 見た感じ、数キロはありそうなのに、全然重さを感じない。

 試しに二、三度剣を振ってみると、ヒュンッ!と風切り音が聞こえる程、素早く振る事が出来た。


「もしかして職業を選択したから、とか……?」


 確かゲームとかだと職業ごとに使える装備って違ってた気がする。

 だから職業が『聖騎士』になったから、剣が使えるようになった……とか?

 何となくそんな気がする。


≪新たな持ち主を確認しました≫

≪魔剣『ソウルイーター』の持ち主をクジョウ アヤメに登録します≫


「え、なに、なに?」


 なんかまたアナウンスが聞こえたんですけど?

 ま、魔剣……? やっぱりこれ、魔剣なの?

 私、呪われちゃうわけ?

 すると剣は淡く光り輝くと、私の体に溶け込むように粒子となって消えた。


「へぁ……?」


 剣が消えた?

 何だろう? 私の体の中に何かが入ったような感じがする。

 臓器が一つ増えたような、そんな奇妙な感覚だ。

 ちょっ、これ大丈夫なの?

 どうやって出せばいいんだろう?

 あれかな? ステータスみたいに念じればいいとか?


「えっと……剣よ、出てきて?」


 すると再びあの魔剣が現れた。

 普通に出てくるんだ……。


「……消えて」


 すると再び光の粒になって消える。

 あのステータスプレートと同じだ。

 理屈は理解出来ないが、ともかく私はそういう事が『出来る』ようになったらしい。

 ホント、意味わかんない。


「まあ、考えるよりも、今はここから離れなきゃ」


 嫌な気配はどんどん近づいてきている。

 武器があったとしても、あんなモンスターと戦うなんて御免だ。

 怖いし、絶対無理。

 私はハルさんを抱えると、急いでその場を後にした。

 

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