第49話 詐欺組織解体

 ラースが王都で証拠集めをしてから、数日が経過した。


 獣医師会も動いてくれたお陰で事態は早急に動いた。

王都獣医師本部、副会長と役員そして王宮財務官が会議に詰めていた。


「これで証拠は完璧ですな」


 副会長たちの協力のおかげで証拠は全て出揃った。


「皆さんの協力のおかげで解体に追いこめそうです。ありがとうございます」

「いえ、みんな会長と思いは同じですから」

「そうです! 弱っている動物たちを金儲けに使うなんて許せません!」

「私たちの仕事は動物たちを救うことですから」


 ラースが動き出したことで、獣医師会も見て見ぬふりはできなくなった。


「会長のお手を煩わせる前に、もっと早く対処すべきでした。申し訳ない」

「仕方ないですよ。証拠が無かったんですから」


 今までは、疑いに過ぎなかった。

確固たる証拠が出てこない限り獣医師会は動かせない。


「では、私はこの証拠を王宮に提出して参ります」


 マスハス財務官が証拠となる資料をまとめて立ち上がった。


「お願いします」


 その足でマスハス財務官は王宮に証拠となる資料を提出した。


 そして、その一週間後に王宮から動物保護団体に立ち入り調査が入り、活動実態は義援金詐欺団体ということが証明

された。

代表と幹部たちは国に逮捕され、事実上の団体解散となった。


 被害額が大きかったので、国もすぐに動いてくれたのだろう。

これから、被害者たちへの金銭の返還などが開始されるようだった。


「ラース様、我々の勝利ですよ! さすがですね。あなたが真っ先に声を上げたら、これだけの人が協力してくれるんですね」


 マスハス財務官は獣医師会本部の役員たちを見て言った。


「みんな、想いは同じなんだと思いますよ」


 獣医になったのは苦しんでいる動物たちを救う為だった。


「少しは、お祖父様に近づけましたかね」

「本当に、ラース様は似ておられますよ。あの伝説の獣医に」


 かつてのベルベットもそうだった。

世間体など気にしない。出世、名誉に興味なし。

その姿勢で巨悪の陰謀と獣医でありながら戦い抜いた。


 そんなベルベットを世間は評価した。


「ベルベット様は言っておられました」


 全ての人が平等に医療を受けられる体制を作るのが私の夢だ。


 その夢は志半ばに終わってしまった。


「私は思いますよ。ラース様にはそのベルベット様の夢をかける価値がある」

「ありがとうございます。祖父の想いは引き継いでいくつもりです」


 こうして、ラースと詐欺団体との戦いは幕を下ろした。


 戦いが終えてオーランドの街へと帰ろうとした時、伯爵邸へと王宮から書簡が届けられる。

それは、ラースを王宮へと呼び出すものであった。

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