第26話 ジェシカとアイドル・前編
私、エリム
フロンティア学園の生徒だ。
「おはよう」
いつも通り席に座り、ジェシカに話しかける。
「…」
ジェシカは毎朝挨拶すると挨拶し返してくれるが、何故か今日はしてくれない。
「ジェシカ…?」
心配になった私は声をかける。
けれど、ジェシカは答えてくれない。
「ジェシカ!」
「ふぇええ!?」
心配になった私は大声でジェシカに話しかける。
「なな…何よ!?」
ジェシカはかなり驚いている。
ちょっとまずかったかな?
「あぁごめんね…ジェシカ、挨拶してもいつもみたいに挨拶し返してくれないから…」
「そうだったのね?ごめんなさいね」
やっと会話ができた。
「で、何かあったの?」
「実は…さっき外でアイドルイベントに出てみないかって誘われたのよ」
「アイドルイベント?何それ?」
「アイドルイベントっていうのはそのイベントの日だけアイドルになるイベント。イベント内で人気があった子はそのままアイドルとしてデビューすることも可能なのよ」
知らないイベントだが、アイドルになれる可能性がある凄いイベントなのは分かった。
ジェシカは可愛いから誘われるのも納得する。
「出てみたら?」
「私にそんなのできるのかしら…お芝居は経験あるけどアイドルは未経験だからどうやって出れば良いかイマイチ分かんないのよ…」
「そっか…」
ジェシカが出ようか悩んでいる理由はよく分かった。
「じゃあさ…私、手伝ってあげよっか?」
「エリムが?」
ジェシカ1人だけだと心配なら私が手伝ってあげればどうにかなるかもしれない。
私もアイドル未経験だから上手くやれる自信はそこまでないが。
「うん。ジェシカのプロデューサーになってあげるよ!」
「プロデューサー!?良いの…?」
ジェシカは申し訳なさそうな顔で私を見てくる。
「ジェシカには日頃からお世話になってるからね。やるよ!私!」
「じゃあ…よろしくね!エリムプロデューサー」
で、その後。
隙間にアイドルに詳しい生徒からアイドルはどういう歌い方や踊り方をしているのか?だったりトークはどんなことを喋れば良いのか?を聞いたりした。
それを参考に私はジェシカの練習メニューを作り上げ、放課後にジェシカを呼んで練習を始めた。
「それじゃあ、練習するよ」
「えぇ」
動きやすい格好をしているジェシカを前にする。
練習の始まりだ。
最初はダンスの練習からだ。
「ワンツーワンツー」
私が手を叩きながらジェシカの踊るリズムを取ってあげる。
「えっと…ワンツー…ワンツー…」
ジェシカは頑張って私の手を叩く音とリズムを合わせている。
初めてにしてはかなり上手ではないだろうか?と言えるぐらいにリズムが合っている。
「最初にしては…かなり良いね?もうちょっとこれ、続けてみよっか」
「ありがとう…続けるわっ!」
その後もダンスの練習を続けた。
頑張るジェシカを見るとこっちも頑張りたくなってくる。
「はい休憩!」
「ふー。どう?」
ジェシカは私が見てどんな感じだったのかを聞いてくる。
「ジェシカって成長早いね?凄い良いよ!」
「ほんと?ありがとうっ!」
褒めたら喜ぶジェシカが可愛い。
これなら何度でも褒めちゃいたいぐらいだ。
「じゃあ、ジェシカ。次は歌だよ」
「そうね。頑張るわ」
次は歌の練習に入る。
「この歌は...」
ジェシカは歌が上手い。
音楽の歌の授業で何回か聞いたことはあったが、2人きりでよくよく聞くとなるとこんなに上手かったとは思わなかった。
「すご...ジェシカこんなに上手かったんだ...」
「そう?嬉しいわ。エリムが望むなら何度でも歌ってあげるわよ」
そしてこの返し方。
ジェシカは天使なのか?
「ありがとう...」
その後も練習は続いた。
私にできそうなところのアドバイスをし、ジェシカはそれを受け入れてくれた。
なので、スムーズに練習が進んだ。
「よし...今日の練習はここまで。よく頑張ったね。ジェシカ!」
ジェシカは今日の練習をしっかり最後まで頑張り、成長したので褒めてあげた。
「え〜それ程でも〜...あるわね!」
なんか言うと思った。
「じゃあまた明日練習、頑張ろうね」
「えぇっ」
そしてジェシカは私と一緒に練習を本番近くまで続けた。
練習を頑張るジェシカを見て私も気合が入った。
そして本番前日。
「ねぇ...今日、エリムの家、泊まっても良い?最終チェックとかもしたいから...」
「良いよ?イリスに話しとくね」
「ありがとうっ」
まさかのジェシカが泊まりに来るみたいだ。
楽しみ。
「後はジェシカが来るだけかな」
一通りの準備は済ませたので後はジェシカが私の家に来るだけだ。
「お邪魔しまーす」
ジェシカが私の家に入ってきた。
「いらっしゃい。とりあえず上がって」
「じゃあ上がるわね」
そしてジェシカは私の家で練習をした。
一通り今までの練習通りにできているので大丈夫だろう。
そして、その日の夜。
「いよいよ明日だよ...大丈夫そう?」
「大丈夫よ。貴方がいてくれるじゃない。エリムプロデューサー」
「もう...ジェシカは...」
プロデューサーと最初に自分で名乗ったのだが、実際に言われると少し照れる。
「ねぇ...抱きつきながら寝ても良い?」
ジェシカが潤いの瞳で問う。
ジェシカなら大歓迎に決まってる。
「うん。ジェシカなら嬉しいよ。おやすみ」
「おやすみ」
その日、私とジェシカは抱き合いながら寝た。
次回、アイドルイベント本番!
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