第15話 イリスとパレード

「おかえりなさいませ。ご主人様」


「うん。ただいま」


 私はエリム

今日も授業が終わったのでメイドのイリスがいる家に帰ってきた。


「ちょっと外、行ってくるね」


「はい。何処に行かれるのですか?」


「ちょっと欲しい本があって…イリスも行く?」


 そう。

読みたい本があるので今日は本屋に行くのだが、どうせならイリスも連れて行きたい。


「良いのでしょうか?」


「いいよ。寧ろ一緒に行きたいな」


「ありがとうございます…では、行きましょう」


「やった!」


 で、私とイリスは外に出る。


 イリスはメイド服のままなので、割と目立ってるが、可愛いので気にしない。


「ここでしょうか?」


「そうだよ」


 本屋についたので、私とイリスは入店する。


「どれかな…あぁあった。これだ」


 探していた本があったので手に取る。


 「百合なファンタジー」、フロンティア学園でも流行ってる本で私も読んでみたかった本だ。


「それが読みたかったのですか?ご主人様」


「うん。面白そうだからね」


「ご主人様が読み終わったら私も読んでもいいでしょうか?」


「勿論!感想、語り合おう」


「ありがとうございます」


 本屋なので静かに会話しながら、会計してもらう。


「買えた買えた。帰って読むのが楽しみだよ」


「そうですね。私も読むのが楽しみです」


 買った本を持ちながら、店を出た。


「イリス、お腹空いてない?」


「まぁ...はい」


「それならさ?外食しに行かない?イリスと外食したことなかったでしょ?」


「そうですね...行きましょうか」


 今、思えば家でイリスと食事をしたことああったが、外食はまだしたことがない。


 それなら、せっかく今外にいるので行ってみよう。


「ここにしよっか」


「はい」


 私がよく行くレストランに来た。

ここは、色々なメニューがあるのでイリスも楽しめるだろう。


「何食べる?」


「そうですね...私は...」


 イリスは席に座り、メニューを見ながら何を食べようか悩んでいる。

まだ食べる前だけどメニューを見るだけでも、イリスは可愛い。


「では、これにします」


「じゃあ、私はこれで」


 2人で注文して届くのを待つ。


「きた!」


 注文した食べ物が届く。


「では...いただきます」


 イリスは食べ始める。


「美味しそうです...」


 美味しそうに。


「だよね。ここ、私もよく行くぐらい好きなんだよ」


 美味しそうに食べるイリスを見ながら、食べる。

幸せ。


「あ、イリス。ちょっと待ってて」


 スプーンを持ち、デザートの一部を取り、イリスの口元に運んでいく。


「ご主人様?何を?」


「はい。あーん」


 私がよく友達のジェシカにやってもらっているこれ。

せっかくイリスと2人なんだし、イリスにもやってあげたくなった。


「わ、分かりました...あ、あーん...」


 恥ずかしそうにしながらも、イリスは口を開け、ぱくり...と口にした。


「い、いかがでしたでしょうか?」


「ガチガチになりすぎだよ!?もうちょっと軽く...軽くでいいよ」


「軽く...ですね。もう一度、お願いしてもいいでしょうか...?」


「いいよ。寧ろ、何回でも見てたいよ」


「もう...」


 そうして食事を2人で楽しんだ。


「ご主人様、あれ...見て行きませんか?」


「あれは...街のパレード?見て行こっか!」


 店から出た後、イリスは街で行われているパレードの音を耳にし、興味を持った。

私も街のパレードは気になるので、一緒に見に行くことにした。


「綺麗ですね...」


「そうだね。あれとかキラキラしてるし」


 2人でイルミネーションを見ていると、イリスが私の方に寄り添ってきた。


「どうしたの?」


「ご主人様...私たち、周りからはどう見られていると思いますか?」


「どうって...」


 何故、そんなことを聞いたのか?


 気になったので辺りを見渡してみると、周りはカップルだらけだった。


「う〜ん...」


 イリスは、これはかなり気になってそうだ。

私の次に言う一言でイリスの反応はかなり変化していきそうだ。


 これは、慎重に考えなければならない。


「ご主人様...ご主人様?」


「はっ!ごめん...ちょっと考え事しちゃってた」


 考えすぎた。


 私らしく返そう。


「仲の良い主人とメイド。じゃないかな?私はイリスと仲良いと思ってるんだけど...イリスは、どう思ってるの?」


「私は...はい。同じです」


 良かった。

上手く返せたみたい。


「これからも私のメイドでいてほしいな」


「勿論です。私も...これからもご主人様に仕えていきたいです」


「ありがとう」


 そうしてイリスが私の腕を組んできた。


「どうしたの?」


「あっ...すみません。ご主人様とこうしていると...何故か心が安らぎそうだった気がしましたので...」


 突然だったので一瞬、驚いてしまったけれど、イリス相手なので寧ろ嬉しい。


「いいよ。イリスだし」


「ありがとうございます...もう少し...良いでしょうか?」


「うんっ」


 イリスが私の腕を組みながらパレードを見る。

私も隣でイリスに寄り添いながらパレードを見る。


 今日は、イリスの新しい一面が見れた良い1日だった。

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