第6話
「あたしはただ、オデッセイアに金を貢がせて本命のサタナス様に恋人として大切にされながら、月に一度はメフィスト達とも楽しむつもりだった・・・」
ヒロインの逆ハーレムルートではそれが出来たのよ?!
それなのに、シュナイダー家がヴァンパイアハンターの一族って何なの!?
ゲームでは、王家よりも財力が豊かな豪商という設定だったのよ!!
悪役令嬢のあたしが逆ハーレムを作ってしまったから、ヒロイン補正やゲーム補正が働いてしまった訳!?
「リリス様。いえ、私達のみならずベリアル達の元婚約者達に相場の倍以上の慰謝料を支払う為に娼婦になるのですからリリスと呼んだ方が正しいですね」
「粗チン達の元婚約者への慰謝料!?何それ!えっ?娼婦?どこをどうすれば、未来の王太子妃であるあたしが娼婦になるという結論になるのよ!?」
そんなリリスがいる地下牢にやって来たのは、アネットとオデッセイアだった。
二人から今回の件で慰謝料を払う為に自分が娼婦に、メフィスト達は勘当した上で片腕と片足を切り落として国外追放された事を聞かされたリリスは掴みかかる勢いでアネットを問い詰める。
「いいですか?リリス、貴女は元宰相子息であるバルバトス達を寝取っただけではなく婚約破棄へと至らせました。それだけでしたら当事者達を交えての謝罪と慰謝料を払えば済む問題でした」
「だが、露出狂の痴女・・・貴様はやり過ぎた」
アネットの台詞をオデッセイアが補足する。
ヴァンパイアハンターのシュナイダー家と、戦える聖魔法の使い手であるアンダーソン家が国から出て行くのは、王国にとって大きな損失である。
ましてや、アネットは世界を救った英雄の一人となった女だ。
そんな彼女を冤罪で追放したとなれば王家は恩知らずとして民にそっぽを向かれるだけではなく、近隣諸国からもその点を責められるだろう。
リリスの自白(?)によりアネットに罪を被せようとしただけではなく、何の非もない元婚約者達にベリアル達は婚約破棄を言い渡して一方的に傷物令嬢にしたのだ。
どのような理由であれ、婚約破棄を言い渡された令嬢は【傷物令嬢】と見られてしまう。
そんな彼女達の行く末はというと、死ぬまで独身を貫く事を強要される。
傷物令嬢を妻に迎えたという話がない訳でもないが、縁談の相手は貴族という肩書が欲しい成り上がりか、とんでもない性癖を持つ男か、祖父と呼んでも差し支えがない老人というのが殆どだ。
元婚約者達の家は婚約者を寝取った令嬢が王国でも有力な公爵家という事で、慰謝料はおろか謝罪の一つも要求出来ず、本来であれば泣き寝入りするしかなかった。
しかし、今回は話が別である。
王家と教会という後ろ盾を得た彼等は娘が傷物令嬢の原因となったリリスに謝罪と相場の倍以上の慰謝料を要求し、王家と教会はそれを認めたのだ。
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