悪役令嬢は所詮悪役令嬢
白雪の雫
第1話
「アネット=アンダーソン!貴女の私に対する仕打ちは到底許されるものではありません!殿下、どうかあの聖女を騙る女に頭を下げて謝罪するように言って下さいませ!」
そうすれば、私はお前を許してやるつもりですわ!!
「平民のくせに公爵令嬢を虐げる女が聖女であるとは・・・・・・」
「土下座して謝ったらリリスは許してやるって言っていたけど、俺は決して許さないからな!」
大聖堂で祈りを捧げていたアネットの元にやって来たのは、公爵令嬢であるはずなのに胸と恥部を強調する・・・乳房と乳首にクロッチの部分に穴が開いているショーツが透けて見えるシースルーのドレスを纏い、どこからどう見ても娼婦というか露出狂の痴女としか思えない王太子の婚約者であるリリスと、彼女の取り巻きと化してしまった宰相子息のバルバトス、近衛騎士団長子息のアザゼル、伯爵子息のベリアル、そして次期国王であるメフィストである。
彼女達の言い分はこうであった。
魔力に秀でているという理由だけで聖女に選ばれたアネットは、公爵令嬢であるというのに美貌・魔力・能力等・・・全ての面で劣っている王太子殿下の婚約者であるリリスを去年の夏は階段から突き落とそうとしただの、去年の冬は池に突き落として凍死させようとしただの、去年の秋は魔物を操って殺そうとしただの、去年の春のお茶会では紅茶に毒を盛っただの──・・・。
リリスが言っている事は全て彼女達による自作自演だ。というより、ゲームの中でリリスがヒロインであるアネットに対して行っていた所業である。
「貴様のような女が聖女とは、我が国の名誉を汚すだけだ!アネット=アンダーソン、貴様を国外追放とする!!」
愛しいリリスに縋られたものだから男としての株を上げたい王太子は、アネットが無実だと分かった上で彼女を断罪しようとするのだが、国と教会が聖女として認めた彼女を裁く権限と権利はメフィストにはない。
しかし、乙女ゲーム───【ラヴァーズ~永遠の恋人~】ではメフィストが婚約者にして悪役令嬢であるリリスに国外追放を言い渡したのだ。
もうすぐ、リリスにとっての最大で最強の障害が取り除かれる。
(後は清楚で可憐な
サタナス様♡
貴方の永遠の恋人であるリリスはここに居ます♡
一刻も早く私を攫って下さいませ♡
メフィストの腕に縋りつきながら、誰にも見えないように歪んだ笑みを浮かべているリリスは過去に思いを馳せる。
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