簡単に命を刈り取る道具

後衛は津島。

 道なき道を牙を剥き出し野犬がヴゥゥゥゥ! と唸り、あたりを走り回り取り囲みガルルルルゥ!と 吠えたかと思えば人の背丈を簡単に越えるジャンプや


木に登って魚雷のように飛び込んでくる。

 

 そしてそれらを追い払ったり、最悪ライフルの餌食になったりと周囲は銃声の轟音が鳴り響く。

 

 もちろんプラグちゃんもあたしの近くでハンドガンでの威嚇の為に発砲したり、捌ききれなかった野犬を射ち落としたりとかなりの腕前を見せる。


 後衛の津島も後ろだけでなく、あたしに付かず離れずの距離をとり動き周るとライフルを何度も発砲している。


 こんな号砲が鳴り響く中心。 あたしはというと生身のまま野犬の攻撃とそれらを追い払いためのライフルの轟音の集中砲火を浴びている。


 耳がバカになったらどうするのよぅっ! 


 あたしのこころの叫びは誰にも届くことはなかった……。


 笑いながらライフルを振り回すバーニーにベニス。 一方真剣な眼差しで我が身を守る為にハンドガンを扱うプラグちゃん。


  笑いながらライフルを振り回す二人はとりあえず除外して、いくら身を守る為とはいえあたしはこんな危ないものは使いたくない。

 だって、簡単に命を奪える道具なんだよ!

 

あたしは達を襲う野犬だってあたし達と同じ命を持ってるはずなのに、それを一瞬で刈り取るんだもん。


 そんな怖くて恐ろしいもの、あたしは使いたくない……。


「あともう少しだ!もう少しだから頑張ってくれ!」


 銃声にかきけされながら津島の応援。


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