この世界の主食はジャガイモらしい。 

「やっぱり時間をかけて血抜きしないとちょっと臭かったかもしれないな」


 「そうですか? わたしは別に気にならないけど、普通においしいですよ」


 確かに独特な味の焼き肉。 元の世界で食べるお肉とはかなり違う味でアタシにはちょっと抵抗がある。 ヒトキレだけ食べてアタシは肉以外の野菜を中心に焼いて食べる。


石の上でしっかりと焼いてちょっと焦げ目をつけて柔らかくなった、厚切りのジャガイモだ。


  何故にジャガイモとおもうかもしれないけど、平たくいえば津島がもってきた形の不揃いなジャガイモだ。


 何故にジャガイモ? と疑問に思ったケド、どうやらこの世界はジャガイモが主食らしい。


 一部では米やパンもあるらしいときくけど、どちらかといえばジャガイモが主流。 


 ジャガイモ以外にはニンジンやトマト、普通に葉物の野菜や木の実等、これらは普通にある。


 米は? ご飯! 日本人だったら白いお米! お米が食べたいんだけど! と思ったら米やパンは一部地域にしかない超高級食材なんだとか……。


 肉類に関しては普通に魚や鳥、牛や豚といったものもあり、市井で出回っているのはやはりキチンと血抜きしていない事もあり、今食べたお肉と同じくら臭みが強いそうだ。


 じゃあこの世界でキチンと血抜きしたのを出せばいいんじゃない?

 と思ったけど、イロイロあるらしい。


 「本当のジビエだからな、肉に関しては仕方ない」

  

 アタシにとってジビエ初体験の焼き肉はこうして幕を閉じた。




「さてと、あとはこのまま何事もなく朝を迎えられたらいいんだけどな」


 日も完全に落ち沈み、外は真っ暗になり夕食も終わったところで津島が怪しげな発言。


 「そうですよね、これだけ血の臭いがあれば外はすでに……。」



 「ああ、多分囲まれてる」


 ちょっとヤバい空気かしらね?

 ジャガイモでお腹がいっぱいになった途端、外ではアオーン! と遠吠えが聞こえる。

 しかも、小屋の外を何かがうろつくような足音が沢山。


 「こうなると思ってけど、メンドクセーなぁ、朝立! 戦えるか?」


 ぁぁ、やっぱりこうなる展開? 血の臭いに釣られてオオカミかしら? それとも野犬? もしかして熊とか? 


 「プラグちゃん、悪いけどお願いできる?」


 津島がプラグちゃんに頼む。

コクリと頷くプラグちゃん


「朝立! おまえにはやれる事はない。 祈ってろ」


 


 と、津島はもってきていた背負い袋からかなり物騒なものを取り出し組み立て始める。


  元の世界で見たことかあるそれは、映画やゲーム、漫画の世界ではお馴染みの銃! よくわかんないけど、ゾンビを相手にするときのゴツイライフル。


 

 津島の背負い袋から金属同士がぶつかる鈍い音の正体はまさかのライフル。

 しかもポンプ式のライフル、ライアットガンだっけ?

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