塗り替えられた充足感

満足感に満ちたトロンとしたンコヒーの表情とアリアが歓声に包まれながら見つめあうと、万雷の拍手が館内に響き渡る。


 


「カノン様、ごめんなさい……。 アリア様と演奏できて凄く嬉しかったです」


 ツンツンしていたンコヒーからトゲがなくなりあたしに謝罪と感謝の言葉。


 ンコヒーにも思うところがあったのだろう。


 あたしの演奏と指導によって一番実の成った時間だ。

 

 あの後にアンコールを求められてしまい、日が暮れるまであたしはピアノの前に座り、存分に演奏した。

 

 この、エーデル島に、来て数曲演奏しただけで五臓六腑に染み渡る演奏をしたけど、それを塗り替えるような充足感。

  

 ンコヒーの屋敷をでる頃には全員からうろんな目で見られていたものが、尊敬の眼差しに変わっていたのも実感できた。



 「カノン様、今日1日お疲れ様です。 あとは夜の共鳴で終了です。」


 とアリア、あれだけ演奏してもあたしはまだまだ演奏できる。

  でも、ラストの一曲は共鳴の塔で最後。


 もちろん、あたしのなかでは共鳴の塔でラストにするつもりはない。 


 共鳴の塔が終わり、その後のヌードバーでの演奏が、本命。

  

 

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