俺のビックサムをメインヒロインに見せつけたら、一目惚れしました。
優白 未侑
1.ビックサム、ダビデを自称し恋をする。
「ダビデ像のような、この体! しかと見るがいい!」
「ダビデ像は、粗チンです。それにそこまで凶悪な勃起はしてないです」
この世界は、ディストピアだ。
警察という組織がこの世界には存在し、自由な芸術表現を規制する。
俺は、夜な夜な芸術の一環で美少女の前に全裸で決めポーズをしている。あくまで芸術表現なのだ。それを世の中は許さない。
そんなディストピア渋谷に今日も芸術を行いに来ていたが今日は様子が違うな。
「うーん、それにポーズのコンポラストもイマイチです。勃起時にダビデ像と同じポーズをしてもバランスが悪いです。もっと足を大股に開いてください。あと片足は、少し上げてください。イメージは、サテュロスの像をイメージしてください」
「こ、こうか……?」
前髪が長く表情の読み取れない小柄なボブカット美少女は、そういうと俺にポーズ指示をしていき、俺は、それに従いポーズを変えていく。
「なあ、サテゥロスの像は少しアホっぽいだろうに……」
「いえ、そんなことないです。こっちのほうがやはり……」
俺は美少女の言う通りのポーズをすると、美少女は、何も言わず写真を撮る。
お、俺の芸術を理解してくれる美少女が現れた。
俺は、美しい。プロポーションに顔面、正直そこら辺の人間など、取るに足らない存在であったが、この美少女は違う。
俺は、感動のあまり、つい美少女の名前を聞いてしまう。
「君、名前は?」
「私は、花園庵(はなぞのいおり)17歳。至って普通の学生です」
「俺は、按摩乱馬(あんまらんま)17歳。ヌードは仕事と趣味だ」
挨拶は、完了。次は、連絡先を聞いておかないといけない。
なぜそんなことをするかは決まっている。
俺は、この庵という少女に恋をしてしまったのだ。芸術として俺を見てくれる。前髪はやぼったいが、中に隠した顔は、元が良いな。それに全身の造形もいい。
そんななことを考えていると庵は、表情を曇らせる。
「調子に乗らないでください! この変態が!」
「お、おっふ!」
庵は、俺の愛刀ビックサムを思いっきり蹴り上げるとは……普段ならビックサムの危機感知能力で避けられるはずなのに、失念!
完全に見惚れてしまい隙ができてしまった、そして、庵は、間髪入れずに顔面に向かって思いっきり催涙ガスを発射する。
「こ・の・変・態・が!」
「お、おう……げほ……大丈夫かビックサム……」
乱馬、僕は、大丈夫だよ。それより、庵ちゃんから連絡先を聞かないと!
噴出するガスで顔面が痛い。
しかし、ビックサムと相談した結果、連絡先を交換したいその欲望が俺の中で勝った。
「ふん! そんなもの! 素潜り八段の俺には聞かぬ!」
「いや効いてください! もっと痛がってください! こ、ここは退却を……」
庵は、俺に催涙ガスが聞かないと分かると早々に撤退を始める。
全く、庵は、本当に恥ずかしがり屋なんだから! 恥ずかしいからって視界をつぶし逃亡、しかし甘いぞ!
「風見珍!(かざみちん)」
俺は、ビックサムを全力で立たせ、渋谷に流れる風の流れを読み、半径10メートルの状況を完全把握する奥義、風見珍で庵の位置を把握し全力で渋谷の街を駆け巡る。
「なんで追ってこられるんですかあぁぁ!」
「ふはははは、庵や、恥ずかしがる必要はないぞ! 連絡先ぐらいすぐ交換してやる!」
庵の歓声が渋谷の街に響く。
他の愚民どもは、悲鳴を上げるが、全く、庵をもっと見習うといいのに!
乱馬、僕たちに近づく影が10体ある! 気を付けて、いつもの警察じゃない!
「ヤバイ! 庵! 危ない! 俺の愛刀に捕まれ!」
「ぎゃあああ! チ〇コが! チン〇が飛んでくるぅぅぅぅ!」
「お前が一番危ないんじゃ! 天誅! こちらイプシロン。ファルスを確保、状況クリア」
俺は、ビックサムからの忠告に危険を感じ、ルパ〇ダイブで庵にとびかかり守ろうとするのだが、宙に飛んだのは、愚策であった。
瞬間、俺は、飛び蹴りを食らい、落下時に上から女に取り取り押さえられる。
「た、助かりました! 私は、これで……」
ああ、庵が逃げてしまう……。
俺は、戻った視界で、俺にのしかかった女を睨みつける。
「よくも! 俺の運命を!」
「あー、何が運命だって。この変態が……ふぅーでもまあ、ポレモスも捕獲対象だしな。……こちらイプシロン、済まねえポレモスが逃走した。距離は20」
戻った視界、俺を取り押さえている、小柄な金髪シスター服を着たは、気だるそうに咥えタバコをし、インカムで何かを話す。
片手には、電気ショックを打ち出すテーザー銃を俺に向けている。
「おい! なんだ捕獲対象って! 俺と庵は、獣でなく芸術品だぞ! 丁重に扱え!」
「ああん……そりゃ獣だろ……お前らヘンタ……あー、くそ、これで面が悪きゃ罪悪感なんて湧かねえのに……ちぃ……」
「が! い……おり……」
瞬間、電気ショックが流れ、一瞬の衝撃の後、俺は、意識を失ってしまった。
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