飛べない空

都城 文月

第1話

昔からよく見る夢があった。

場所はさまざま、時には古い木造の学校のような場所。時には古びた廃工場。時には真っ白なお城か高級ホテルのような建物。

共通しているのはどの場所にも自分以外の人間がいないこと。そして自分が誰かを探してること。

夢の自分は本当は空中を高く飛べるはずなのに、大事な時に限って地面スレスレしか飛べないこと。

目が覚めると疲労と敗北感がいつも襲ってくる。

誰かを見つけられないことも、飛ぶことができないことも。

それでも朝はやってくる。

いつものように食事をし、顔を洗い、着替えて家から出る。

いったいどれぐらいの人が自分のような訳のわからない敗北感と共に電車に揺られたり、車を走らせてるだろう。

だが、やがて日々の忙しさにやがて敗北感は薄れてゆく。誰かを探しているという違和感も。

そしてそれが消えさった頃にまた私はたった一人でまた夢の中を彷徨うのだ。

誰かを探して、高く飛ぶこともできずに。


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