第5話 ついに、動く。
「そろそろだな。」
時計を見ながら冴優が言う。
「そうですね。一応先生には夕凪さんより早く来てもらうよう頼んだんですけど....やっぱり忙しいんですかね?」
「そうかもしれないな。そういえば中山さんには私の家は伝えたのか?」
「あ、忘れてた、今から連絡し―」
ピンポーン
政近が言い終わる前にチャイムがなる。
「私が出よう、政近君は連絡をしといてくれ。」
「分かりました。」
ピンポーン
「はーい、今出ます。」
ガチャ
「⁉」
「やあ、あなたは....冴優さんでしたっけ?こんにちわ、お久しぶりです。」
ドアを開けるとそこには中山が立ってた。
「どういうことだ。」
「?...なにが?」
「どうして教えてもらってもないのに私の家を知ってる?」
冷静でかつ覇気のある言葉で中山に問いかける。
「ん?教えてもらったけど。」
「政近君は教えてないって...」
「ああごめんごめん、誤解を招く言い方だったね。この子に教えてもらったのさ。」
中山がそういうと後ろら美月が顔を出した。
「こんにちわ...あの...この人は悪くないです。私が勝手に教えたんです。すみません。」
「なんだ美月君か...中山さん、すまなかった。」
冴優が頭を下げる。
「いやいや、こちらこそ誤解を招く言い方して...」
これで
「冴優さ~ん、先生に繋がらないです....え!先生⁉なんで...」
流石の政近も不審がる。が、
「美月君が一緒だったそうだから、大丈夫だ。」
冴優が安信しろと言わんばかりに答える。
政近君も余裕で懐柔できそうだな。
中山がそう考えると美月が口を開く。
「あの...入っても....」
「ああすまない。玄関先で話してしまっていたな、どうぞ上がってくれ。」
「お邪魔します。」
「お邪魔します~」
全員がリビングに上がると中山が口を開く。
「上げてもらった身で図々しいけど、美月さんの相談でしょ?一対一で話したいんだ。二人には申し訳ないんだけど別室に行ってもらえないかな?」
「構わないが、終わったら言ってくれ。」
「分かりました。」
「うん。」
バタンッ
二人が別室に移る。
「ふう....行ったね。」
「あの...私のためにここまでしなくても...」
「全然気にしなくていいよ、ほら先生に話してごらん。」
「え、えっと...」
美月が話始める。
****
「なるほど....自分は役に立つのかと大切な人が目の前で傷ついていくにが怖いと....」
ふむ...心の中を見る限りでは恐らく政近君のことを「大切な人」という前提だったのだろう。いいね!青春だ!
ま、どうでもいいけど
「よし。玄、来い。」
「はっ」
中山がそういうと影の中から謎の人物が現れる。
「?.....これは?」
不思議そうに見る美月。
「愛しの政近君が助けに来てくれるといいね。」
そういうと美月の周りに真っ黒霧が発生する。
「先生これはどういうことですか⁉」
今だに分かっていない美月に中山は冷たく言い放つ。
「ん?ゆーかい。」
「!...助けて!政近く―」
美月が叫ぶより速く霧が美月を飲み込む。
「ふう...玄、一旦ここを離れよう、今のが聞こえていたらまずい。」
「はっ仰せのままに。」
すると二人の周りに霧ができ、二人を包むのであった....
~数十分前~
「ふう...さて、我々はここで終わるのを待つとしよう。」
冴優が一息ついて言う。政近はというと....
こ、こここって、さ、冴優さんの自室⁉なんか、て、手が震える。
もちろん女の子の部屋には行ったことがない政近はきょどる。
「どうした?政近君、寒いのか?」
「ああいや大丈夫です。」
「そうか...?」
なんか...緊張する...何話そう....よし、
「ここって冴優さんの自室ですよね、凄く綺麗に―」
「違うが?」
冴優がさも当たり前のように言う。
「え⁉じゃあここは何の部屋なんですか?」
少し焦りながらも話を続ける。
「ここは昔星七がよく泊まりに来るもんだからこの部屋を星七の部屋にして星七専用の部屋にしたんだ。今は忙しくて来れていないが。」
「へ、へぇ~」
性格に難ある人の部屋とは思えない...
政近達がいる部屋は本や資料が細かく分けられていて政近も見本にしたいほど綺麗だった。
「ん?どうかしたのか?」
「あったことが無いんですけど性格に難あるということは聞いていたのでちょっと意外だなーって思いまして。」
「ああ...難あるというかこだわりが凄くな...この部屋もこの形になるのに数か月も掛かっていたからな...」
「そ、そうなんですか。」
なんか、会いたくないな...命の大恩人なんだけと...
「それにしても、やけに遅いな。」
「そうですね。見に行きましょうか?」
「いや、きっと美月君の相談に真摯に向き合っているのだろう。邪魔するのは....!」
そう言いかけたとき、冴優が何かに反応する。
「ど、どうしたんですか⁉」
「今、悲鳴が聞こえなかったか?美月君の。」
「全然聞こえなっかたんですけど...冴優さんがそういうならやばいかも...」
「あ、でも中山さんがいるから大丈夫じゃないか?」
「先生の能力じゃ戦えない!二人ともまずい!」
政近が叫ぶ。
「急いで向かうぞ!」
バタンッ
「先生!夕凪さん!」
二人が行った頃にはもう、誰もいなっかった...
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