解決編・序

シー子爵令嬢は白いドレスだった。

良く言えば清楚な印象を受けた。

これから嫁に行く白無垢の様に見えた、 ウェディングドレスの様に派手では無い。

悪く言えば質素な印象を受けた。

これから磔にされるような罪人の様な、 しかし襤褸切ぼろきれの様に粗末では無い。


「・・・・・」


メイズは警戒を解いた。

絆された訳では無く、 これではナイフすら隠し持てないだろうと判断したからだ。


「お初にお目にかかりますラズ公爵令嬢」


優雅なカーテシーを見せるシー。

淀みも無い礼節である、 これ程の礼儀を見せる者が王子を寝取るとは思えないと

メイズは感じた。

シーは微笑みを浮かべていた。


「其方の殿方は?」

「貴女が知らないなら何でもいいですよ」

「じゃあ探偵とでも名乗ろうか」


メイズがユーモアと牽制を交えながら答えた。


「それで本日は何用ですか?」

「貴女様にお別れのご挨拶に参りました」

「お別れ・・・もしや御母堂の元に向かうつもりではありませんか?」

「・・・・・」


シーの笑みが崩れた。


「・・・何の話ですか?」

「貴女の事を調べました」

「・・・・・」


シーは再び笑みを戻した。


「そうですか、 しかしながら私の来歴は全て養父

いやカボン子爵が勝手に詐称した物、 私のせいではありませんわ」

「自らで間違いを訂正しないのは詐称に加担していると思いますが」

「だとしても私はこれより修道院に行くつもりです

貴族の子女としては罰になるかと」

「待て、 二人共」


メイズが二人を制する。


「此方には情報が何も無い、 私にも説明してくれ、 それでフェアになるだろう」

「フェア、 になるかは分かりせんし、 フェアにする必要も分かりませんが・・・

まぁ良いでしょう、 調べたというのならば是非とも発表して頂きたいですね」


シーが嗤う。


「それじゃあ話しましょうか・・・」

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