オリの生還
医務室にてオリがベッドに括りつけられていた。
「オリ!! お前何で死のうと思った!!」
ロウが絶叫しながらチェンに羽交い絞めにされている。
先程までロウはオリを殴りつけていたのだ。
「だ、 だってダイヤモンドが!! ダイヤモンドが全部燃えて無くなった!!
1兆ものダイヤモンドが!!」
オリは未だに錯乱していた。
「それよりも死ぬな!! 1兆のダイヤモンドは確かに大事だがお前の命には代えられないんだ!!
自ら死のうとなんてするな!! 死んで責任は無くならないぞ!!」
ロウは叫んだ。
「父上・・・」
オリはぼろぼろと涙を流した。
「ロウ、 一旦外に出ろ、 お前達、 オリを見張れ」
「「「はい!!」」」
ルイ3世が皆を連れて医務室から出て行った。
そして会議室に戻った。
「それにしてもロウ、 お前が息子をそこまで大事にしているとは知らなかったぞ」
「え? いや、 だって息子が自殺なんて大罪を犯したら
親の私も連座で破門されるかもしれないじゃないですか」
「・・・・・教徒としては正解だが親として間違った回答だな」
「親としての情なんてものはない、 あんな馬鹿げた事をしでかしたんですし」
「違いない・・・情報を整理しよう、 オリの元にやって来た連中は全員金で雇われた人間だ
辻馬車と娼館のオーナーにそれぞれ確認を取った」
「・・・・・ダイヤモンドが狙いで口裏を合わせている可能性は?」
メイズが尋ねる。
「それだったらもっと良い連中が居るだろう、 裏社会の犯罪者ギルドなり何なり」
ルイ3世が否定する。
「いや、 寧ろそれは無いのでは?
1兆の身代金が有るのならば犯罪者共は雇い主を殺してでも持ち逃げしますよ」
「そもそも1兆の身代金がおかしい、 その上に炉に落として燃やすなんて意味が分からない」
「本当に燃えたのか? 炉に落としたと見せかけて実は落としていなかったりとか」
「現場にはラズ公爵とフロアーが居る、 探させているが見つかっていない」
「王妃殿下と公爵閣下か? 随分大物ですね」
「下っ端が見つけたら最悪持ち逃げされるからな」
「それは心配要らないのでは? ダイヤモンドの換金なんてバレるでしょう」
「それもそうだな・・・話が脱線したから今の所分かっている事を箇条書きにしよう」
1.オリの元にやって来た連中は全員金で雇われた人間
辻馬車と娼館のオーナーにそれぞれ確認を取った
2.身代金は炉に投げられた、 本当かは分からないので現在調査中
3.犯人も炉に身を投げた
「犯人も炉に身を投げた、 って事は経済的なダメージを与える為に雇われた
他国の工作員と言う可能性は有りませんか?」
メイズが尋ねる。
「いやそれは無いだろう、 もし生きていて口を割れば
教会からの破門が待っている」
「では教会からの刺客と言う事は? 王家の経済を削ぐ目的で」
「それも無いな、 ならばもっと上手くやるだろう」
「そうですか・・・」
頭を抱える一同。
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