事情聴取・2

アンナがメイズが持って来た水を飲み干した。


「ふぅ・・・」

「話は変わるがフレッドが完全黙秘しているのに何でお前は喋ってくれるんだ?」

「二度手間だからかな」

「二度手間?」

「娼婦って結構修羅場になる事が多くてね・・・

ヤってる最中に奥さんが包丁持って来るとか

私と入れ違いで御客さんが刺されたなんて事も良く聞くよ」

「うわぁ・・・ひでぇな・・・」

「で、 そういう時はどうせ後で令状持って来るし

二度手間だから喋る事にしているのよ」

「そうか、 じゃあ続きだ」

「ヘンダーソンと話しながら歩いていたんだけど

話が噛み合わなくて変だなぁって思いながら

鉄工所の前にやって来たんだけど閉まってたのよ

でも鉄工所の扉に『切って入れ』って張り紙がしてあって

ヘンダーソンさんはペンチで金網を切り裂いて入ってっちゃったのよ」

「それで?」

「何枚か張り紙が有って、 炉がある所に入ったのよ

ヘンダーソンさんは『何も知らないなら帰って良い』って言われたんだけど

前金で金貨5枚貰ってたから私も一緒に行ったのよ

それで炉がある所に行ったの」

「炉? 炉って・・・溶鉱炉?」

「うん、 誰も居ない筈なのに煮えたぎった鉄が炉に入ってた

指定された場所は炉よりも高い足場

で、 向こう岸に覆面男が居たのよ、 そいつが『身代金こっちに渡せ』って言って来たのよ」

「どうやって?」

「鉄パイプが斜めになっててね、 そこにロープを通せって」

「どういう、 あぁそうか」


恐らく持ち物の中に遭った自殺するかのように輪が結んであるロープ。

あのロープに袋を括って受け渡したんだろう。


「ヘンダーソンさんは黒い袋をロープで括って覆面男に渡したのよ

覆面男は袋の中身を確認したらそのまま炉の中に入って行ったのよ」

「・・・・・炉の中に?」

「炉の中に」

「・・・・・」


困惑するメイズ。


「・・・・・溶けた鉄の中に? 袋も、 ダイヤモンドと一緒に?」

「うん袋も一緒に炉の中に・・・ダイヤモンド?」

「あ・・・・・」


しまった、 と思ったがメイズは続けた。


「じゃあその覆面男は死んでしまったのか?」

「多分ね、 と言うかダイヤモンドって?」

「・・・・・」


頭を抱えるメイズだった。


「1兆のダイヤモンドは既に消えてしまったという事なのか?」

「だからダイヤモンドって何の話なのよ、 教えてよ」


流石に頭を抱えるしか・・・


「大変ですメイズ殿下!!」


メイズの元にロウが息を切らしてやって来た。


「如何しました?」

「オリが自殺を図りました!!」

「何だと!?」

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