へっぽこ物書きの雑記帳

月代零

1.カクヨムコン、及びweb小説についての雑感

 さて、カクヨム最大のお祭り、カクヨムコンの応募期間が今年も終わり、読者選考も間もなく終わろうとしています。参加された皆様、お疲れ様です。よい結果が出るよう祈っております。応援している作品も残るといいなあ。

 私? さあ……。流行りの要素もないし、文章も固くてweb小説っぽくないし、難しいんじゃないですかねえ……(遠い目)。


 さて、そんなカクヨムコンは読者選考というシステムがあり、どうしても読者の特別多くもない、私のような弱小アカウントは不利になってしまいます。世知辛い。


 まあ、長編も短編も応募数は軽く1万作を超えており、これら全てに編集者が目を通すのは難しいだろうというのはまあわかります。今年から創設された「特別賞」は、全作品にチャンスがあるとのことですが、どんな塩梅でしょうねえ。


 しかし、です。

 これは「カクヨムwebコンテスト」なのです。

 web小説のコンテスト。一般文芸の公募なんかとは違うと認識しないといけなかった。

 一般文芸とweb小説は、似て非なるものだと。ちなみに、私がそれに気付いたのは最近です。読みやすく平易な文章で、転生チートハーレムなど、わかりやすい展開こそが、web小説に求められているものだと。


 私はweb小説らしいweb小説を書こうとしているわけではなく、小説を書いたからネットに載せているくらいの適当な人間です。本ばかり読んで、物語の中でかろうじて息をしていた子供でした。

 「なろう系? ふーん」くらいに思っていて、web小説の作法など知りもせず、カクヨムに登録して初期にアップしたものは、台詞と地の文の間を一行空けるなんてこともせず、画面いっぱいに文字が書いてあるようなシロモノでした。


 まあ、それはともかく。


 近年、出版社にも新人を育てる体力がなくなり、既に人気があって売れる可能性の高い作品をweb上から探してきて書籍化することが多い、なんてことも言われています。

 それを鑑みると、読者選考というシステムがあるのも頷けます。


 つまり、最初からフォロワーの多い人気作や、拡散力のある作品を探しているコンテストであると、穿った見方をすることもできるわけです。となると、私のような弱小アカウントが読者選考を突破できる可能性は限りなく低い。特に、激戦区である異世界ファンタジーや現代ファンタジー部門となると絶望的です。


 では、受賞とまではいかなくても、読者選考突破を狙うのであれば、一度自分のスタイルを捨てて、転生チーレムなんかを書くべきなのか。それで人気が出て、フォロワーが増えたら普段の自分の作風のものでも読まれるのか。


 ……なんてことはないんじゃないかと思います。だって、いわゆる「なろうテンプレ」を求めている人は、そればかり読むんだろうし。


 人間、慣れ親しんだものを求めるものです。それは仕方ないことです。

 かく言う私も、ファンタジーといえば荻原規子や上橋菜穂子や小野不由美(敬称略)だし、かつ流行り物になかなか手を出さない天邪鬼なので、なろう系に親しみがありません。

 アニメ化されたものを見ようとしても、それなりに面白いと思うものはありますが、円盤や原作本を買って手元に置いて、死んだときは一緒に棺に入れてほしいと思うようなものはあまりない。


 そして、「そこにはダンジョンがあって、モンスターがいる」とか「この世界には魔法がある」みたいに一文で説明されてると、「なんで当たり前のようにダンジョンがあるねん」「そもそも魔法ってなんじゃい」とか思ってしまう。

 そうじゃなくて、もっと深く世界観が練られた、かつ昏いもののなかに一筋の光が見えるようなものが見たい!とか思ってしまう。

 まあ、完全に好みの問題ではありますが。


 もちろん、テンプレ作品にも面白いものはあるだろうし、信念を持って書いている作者様もいるでしょう。私とは馴染まないというだけで。


 ただ、やっぱり私は一時のカタルシスを得て忘れられるものではなく、誰か一人でもいいから、誰かの心に残る物語が書きたいと思うのです。


 まあ、こんなのはただの弱者の負け惜しみでしょうけれども。

 それでもやっぱり、自分の書いた物語が、誰かの心に届いてほしいと願うのです。


 だって、物語は祈りだと思うから。現実を生きていくための、そして、少しでも今生きる世界をよくしたいと願う祈り。そうあってほしいという願い。


 人に説教かましたいとか、そんなおこがましいことを考えているわけじゃないですけど。

 でもPVも星ももらえないと病むし。ネットの魔力ですね。ああ嫌だ嫌だ。


 まあ、web小説の世界で浮上するテクニックなんかはきっとあるんでしょうけど、それをしたいとはきっと自分は思えなくて。でもやっぱり物語を書くことはやめられない。

 だって、書きたいことがあるから。書くことは楽しいはずだから。


 そんな感じで、今日も生き延びましょう。

 


 

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