清楚系美少女の女友達が『男友達のオトし方』という恋愛本を手にしているのを目撃してしまい恋愛相談に乗ることになった〜実はその好きな相手というのが俺らしい!?〜
神月@『メイド王女』書籍化決定!
第1話 女友達は好きな人が居るらしい
「……え?」
俺は今、もしかすると人生で一番と言っていいほどに驚愕、動揺していた。
現状を簡単に説明すると、今俺は本屋に本を買いに来ていて、目の前で本を熱中して読んでいるのは俺の高校の二年生で同級生で、一応学校では毎日話すほど仲の良い同じクラスの
秘桜は、黒髪ロングでスタイルは巨乳で足が長く顔も綺麗に整っていて、ルックス的にも非の打ちどころがなく、性格も良い、いわゆる清楚系美人というやつだ。
さらに頭も良くて運動神経まで良いときている。
そんなやつがモテないはずもなく、秘桜は高校生活の間で頭の良い男子やイケメンと言われている男子から告白されているが、それら全てを断っているため恋愛には興味が無い学校では認識されている。
そんな秘桜が今手に持っている本は────恋愛本。
それも、しっかりとタイトルを読むと『男友達のオトし方』と書いている。
俺が驚愕、動揺してただその場に固まっていると、秘桜が呟くように言った。
「うん、この本で良いかな」
そう言って、その本を持ったままおそらくはレジに向かおうとした秘桜が振り返った時────俺と目が合った。
「
俺の顔を見た秘桜は、俺こと
そして、現状を把握するように周囲、自分の今持っている本、俺の顔の順番に視線を移動させた。
そして、秘桜は動揺した様子で言う。
「えっ……と、神咲くん、放課後はよく本屋さん来るの?」
「あぁ……そう、だな、よくってほどかわからないけど、一ヶ月に三、四回ぐらいは」
「そう、なんだね……」
俺たちの場に、とても気まずい空気が流れた。
……流石にずっとこの気まずい空気で居るのは文字通り気まずかったため、俺はその場を立ち去ろうとして言う。
「じゃあ、その……また学校でな」
そう言って立ち去ろうとする俺の腕を、全力で掴んで言った。
「待って待って待って、今このまま別れたら明日から絶対気まずいから!とりあえず、落ち着いて話だけしよ?」
「口外しない!口外しないから助けてくれ!」
「ち、違うから!そんな物騒なことしようとしてるんじゃないから!」
長い攻防の末に、ひとまずは秘桜の話を聞いてみることにしたが……
「ここで話すのか?」
「ううん、ここだとお店の迷惑になるから外で話すよ」
「……その本は買うのか?」
俺がそう聞くと、秘桜はその本で顔の下半分を隠すようにしながら言った。
「……うん」
そう言った秘桜の顔は、上半分だけでも紅潮しているのがわかったが、俺はひとまず気にしないことにして、秘桜がその本を買い終えると、一緒に本屋から出てひとまずカフェで一緒にお茶をしながら話をすることにした。
「あんな本持ってたからわかってると思うけど……私、実は好きな人が居るの」
「そうだったのか」
あんな本を持っていたからある程度わかってはいたから今はもう表面的にはそこまで驚いていないが、それでもやはり内面的にはとても驚いている。
まさか、あの秘桜に好きな人が居たなんてな。
「知り合いに代わりに買ってくるようにお願いされたっていう言い訳をしようかなとも思ったんだけど……」
「あんなに熱中して読んでたのに、それはちょっと無理があるな」
「やっぱり見られてるよね……」
秘桜はわかっていたように言った。
「じゃあ、告白を今まで全部断ってたのは、好きな人が居たからなのか?」
「うん、その人以外と付き合うとかっていうのはちょっと考えられなくて、でもその人に上手にアプローチすることもできなくて……」
それから少し間を空けた後、秘桜は言った。
「あのね!良かったら、恋愛相談に付き合ってくれないかな?」
「恋愛相談……?」
「そ、そう!いつか告白したいから、神咲くんともっとたくさん過ごした────じゃなくて、えっと……来るべき告白に備えて、色々と男の子の意見を参考にしたいの!」
「それは良いけど、相手が俺で良いのか?」
「神咲くんじゃないとダメなの、絶対に……だから、お願い」
その秘桜の目には、どこか真に迫るようなものがあったため、俺は思わず首を縦に振って言った。
「……わかった、そういうことなら友達として引き受けよう」
俺がそう答えると、秘桜はどこか暗い顔をしていたが、ともかく────今日この日から、俺は秘桜の恋愛相談を受けることになった。
そして────その恋愛相談の先にある秘桜の好きな相手が俺だということを、この時の俺はまだ知らなかった。
◇
厄介払いで女性だけの最前線部隊に送られた僕、男嫌いと噂の最強美少女たちに好かれすぎて夜が大変な件────という最新作を公開させていただきました!
タイトルを見てご興味をお持ちいただけた方は、そちらの物語も併せてお読みいただけると幸いです!
↓作品URL
https://kakuyomu.jp/works/16818093093507684199/episodes/16818093093510525478
◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます