第38話 ノロケバナシ

タルトとチーズケーキと飲み物が届いた。

「こまちさんは、彼氏さんとはどこで出会ったんですか?」

と、コーヒーを飲みながら聞かれた。

『職場よ。介護施設のお仕事で出会ったの。』

「職場内恋愛?!大人ですね!公私混同しないんですか?!」

『そうね。仕事の時は、基本的に敬語で話しているから、切り替えはできていると思う。』

「そうなんですね!でも、たまに深い話したくなる時ありません?」

『あるある!そういう時は、勤務が被っていて2人だけの時に話すようにしてるよ。』

まあ、梨乃や菜月の前では、普通に話しちゃってるけど(笑)

2人は、知ってるからいいや!っていう認識なのよね😅

「そうなんだ。デートってどこに行くんですか?」

『隣県が多いかな。今の季節だったら、海に行ったり、水族館に行ったりするかな。』

「その時、手は繋ぐんですか?」

『うん、繋ぐよ。最初は、私が慣れなかったけど、回数を重ねていく間に慣れたかな。』

「こまちさんって、意外と恋愛に慣れてないんですね。」

そりゃあね。

中学、高校は、華音と一緒にいたから、あまりに周りに人は来なかった。

高校の文系科目でお友達はできたけど、卒業したら連絡を取らなくなってしまった。

『そうね。大学生で初めてお付き合いしたかな。だから、今の彼氏は2人目ね。』

「そうなんですね!こまちさんの職業は知ってるんですか?」

『まだ話してないの。機会があれば、きちんと話そうと思っているの。』

ただ、その機会がいつになるかしら?(笑)

「きっと、びっくりしますね!もしかしたら、こまちさんの作品を密かに読んでるかも?」

『どうかしら?あまり雑誌とか買っているイメージはないわね。』

「そんな〜(´・ω・`)」

と、私よりしょんぼりする蘭さん。

ふふふっ、可愛いわ。

私の本業を知ったら、買うようになるかもね?

まあ、大輝さんの自由だけど。

『読者が増えるのは嬉しいけれど、自分からはお勧めしないかな。』

「こまちさんのそういう所、全然変わってないですね!こまちさんらしくて大好きです!!」

まだ、自信を持って言えないからっていうのもあるけど、自分の作品を自分で勧めるのは恥ずかしい。

『ありがとう!書籍が出版できたら、もう少し自信がつくかもね。』

「今でも十分ですよ!私、作家の友達がいるって、胸張って言えますよ!」

と、とても嬉しいことを言ってくれる。

きっと、みんなも思ってます。と付け加えてくれた。

『ありがとう。それでね、蘭さんの話も聞かせて欲しいの。何がきっかけで、今の職業を目指そうと思ったの?』

夢を見つけるまでの過程は、私達もよく分からない。

学生時代、デザインして作っていたのは分かる。

でも、どのタイミングでデザイナーになろうと思ったのだろう?


話し込んでいたら、あっという間に夕方になっていた。

『蘭さん、いろいろ話してくれてありがとう!』

「こまちさん、プリン買って帰りましょう!」

『そうね。辛いのに話してくれてありがとう。きっと、蘭さんなら社内コンテ上手くいくわ。応援してる!』

「ありがとうございます!こまちさんに話したら、何だかスッキリしました!」

蘭さん、話す前より、表情が明るくなったわね。

きっと、忘れていたことを思い出したのね。

蘭さんの物語も書き始められそう。

ノートに構想を書いておこう。

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