ミライノカタチ
𝓡𝓲𝓡𝓲
第1話 サイカイ
私は、学園を卒業してから、文系の大学へ進学した。
そして、いろんな人に自分の作品(小説)を読んでもらうことができて、たくさん感想やアドバイスをもらったわ。そして、自分の世界を広げることができたの。
大学生最後の冬に、大手出版社の新人コンテストに応募して、新人賞を取ることができた。そして、そのまま、その出版社で作家デビューをすることができたの。
今は、夢だった作家のお仕事をしながら、介護士として働いている。
作家のお仕事だけで生計を立てるのは、まだ難しいから、正社員として福祉施設で働いている。もちろん、不規則勤務だし、夜勤も入っている。
ありがたいことに、連載小説を持たせてもらってるから、作家としてのお仕事はある。
家にこもって書いていても、上手く書けないことや行き詰まることもあるから、介護のお仕事は気分転換になるし楽しい。
それに、介護を通してお友達もできたのよ。
そして、夢が増えたの。
今でも、ひよりさんに演じてもらいたいっていう夢もあるけど、私の書いた小説をマンガにしたいって大学の友達が言ってくれた。
出版社の方との打ち合わせの帰り道。
「メタモルフォーゼ!」
と少し遠くから、聞き慣れたフレーズが聞こえてきた。
行ってみよう。
出版社の方からいただいた資料をカバンに入れて声がした方へ歩く。
そこには、焦っている蘭さんとキョトンとしている和果さんがいた。
私と同じく、聞き慣れたフレーズを聞いて素通りできなかった、ひよりさんと華音。
久しぶりに会うわね。
学校卒業以来かしら?
和果さんの提案で、みんなで飲みに行くことになった。
久しぶりに会うみんなは、最後に会った時より、綺麗になっていて大人になっている。
華音とも、成人式以来会ってなくて、連絡先も知らないの。
不思議でしょ?学生時代は、毎日一緒にいたのにね。
お互い仕事をするとそんな感じになるのかな?
お店は、蘭さんと和果さんがよく来るというお店へ。
話題は、みんなの今のお仕事について。
「こまちさんは、大手出版社の新人賞を取ってそのままデビューしたんですよね?」
と蘭さんに聞かれる。
『そうね。でも、それまでが結構大変だったの。』
何度も何度もダメ出しされて書き直して、やっと納得のいく作品に仕上げた。
学生時代に書いた【海賊パンデム】の何倍も書き直したと思う。
「【海賊パンデム】も7、8回書き直していたものね。」
と思い出したように言う華音。
『あの作品の倍以上は書き直したと思うわ。』
学部内での作品発表も厳しい意見を沢山もらって、1つずつ向き合って直して、少し展開を変えてみたり表現を変えてみたり、やれる限りやった。
先生に相談したこともあった。
「そんなに?!作家さんも大変なんだね。」
と驚く和果さん。
あの頃から、簡単な職業ではないとわかっていたけど、なってみると本当に大変だと思う。
いろんな人の作品を読んで、こんな物語を書きたいって思う作品に出会えたし、私の書く世界観が好きって言ってくれる人にも出会えたから、大学で勉強出来てよかったと思ってる。
「同じ目標を持つ仲間がいるのって心強いわよね。」
と華音。
『うん、とっても心強かった。』
「華音さんは、お医者さんですよね。お仕事忙しいんじゃないですか?」
和果さんが華音に問いかける。
「そうね。今日みたいに、いつ病院から連絡が来るかわからない時もあるし、大変なことも多いけど、充実してるわよ。」
華音も人相手のお仕事だものね。上手くいかない時もあるわよ。
一通りみんなの近況報告をして、連絡先を交換して、和果さんがグループを作ってくれた。
これで、みんなといつでもやりとりできるわね。
みんなと解散した帰り道。
そろそろ今連載中の小説が終わりそうだから、新しい作品を考えなくちゃね。
今日打ち合わせのことも検討しないとね。
今の私の実力や経験でできるのか、少し不安はあるけれど、やってみたいとは思っている。
次回の連載小説は何がいいかしら?
たまには、恋愛もの?
学生以来、書いてなかったけれど、今なら自分の経験をもとに書けそうだわ。
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