　平和な日常が流れるエルヴィナに、次第に変化の兆しが訪れ始めた。

　隣国との関係が徐々に緊張を帯びていき、その不安定な情勢は、エルヴィナの人々にも静かな波紋を広げていたのだ。

　そして、ある朝、エルヴィナ王は国民への緊急の演説を行うことを決定した。

　城の広場に集まった人々の間には、期待と不安が入り混じる空気が漂っている。

　もちろんリナとミナも、その中にいた。

「国民の皆様、私たちエルヴィナと隣国との間に、残念ながら緊張が高まっています。」

　エルヴィナ王の声は、広場に集まった人々に向けて、落ち着いていながらも力強く響いた。

　リナはミナの手を握り、不安そうに彼女を見た。

　ミナはリナに微笑みかけ、心を落ち着かせようとした。

「大丈夫、リナ。きっと解決の道はあるわ。」

　エルヴィナ王は続ける。

「私たちは平和を愛する国です。しかし、私たちの価値観と平和を守るためには、時には強い意志を持たなければなりません。」

　人々の間からは、王の言葉に賛同する声や、不安を隠せないささやきが聞こえてきた。

　王はその反応を受け止めながら、言葉を選びつつ話を続けた。

「私は現在、隣国との対話を試みています。しかし、私たちもまた、準備を進めなければなりません。エルヴィナの安全と将来のために、私たちは一致団結し、困難に立ち向かう必要があります。」

　ジェラルド将軍も王の隣に立ち、

「私たちの軍は、国と国民を守るために全力を尽くします。皆様の支えが私たちの力となります。」

　と力強く宣言した。

　演説が終わると、リナとミナは人々の中を歩きながら、彼らの表情を横目に見る。

　不安、期待、決意。さまざまな感情が彼らの中で渦巻いていた。

「ミナ、私たちにも何かできることがあるわ。」

　リナが静かに言った。

「うん、リナ。私たちは、エルヴィナのために力を合わせるわ。」

　ミナの目には、新たな決意が宿っていた。

　二人は、再び困難な時代が訪れようとしていることを感じつつも、エルヴィナとその人々を守るために自分たちにできることを考え始めた。

　エルヴィナ王の言葉が、リナとミナの心に新たな火を灯したのだった。

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