第2話 予言の書

 エルヴィナの世界は、彼女たちの前に新たな道を開いていた。


 塔を出たリナとミナは、古い地図を広げながら、次の目的地を決めた。


 予言の書には、彼女たちが訪れるべき古代の神殿が示されていた。


 その神殿には、世界を救う鍵となる秘宝が隠されているという。



「神殿は、この森を抜けた先にあるらしいわ。」


 リナが地図を指さしながら言った。


 彼女の眉間には、わずかな憂いが浮かんでいた。



 ミナはリナの肩を叩き、元気づけるように笑った。


「大丈夫、リナ。森の精霊たちもきっと私たちを助けてくれるよ。」



 二人は手を取り合い、森の中へと踏み込んでいった。


 森は厚い霧に包まれており、視界はほとんど利かなかった。


 しかし、彼女たちは勇敢にも前進を続けた。



「リナ、見て!あれは…」


 ミナが指差した方向には、輝く精霊が浮かんでいた。


 精霊は二人を見つめ、優しく微笑んだかと思うと、彼女たちを神殿へと導く道を照らし始めた。



 精霊の導きにより、リナとミナは無事に森を抜け、古代の神殿に到着した。


 神殿の扉は重く、長い間開かれていないようだったが、ミナの力強い一押しでゆっくりと開いた。


 神殿の内部は、彼女たちが想像していた以上に壮大で、壁には古代の文字が刻まれていた。


 二人は、秘宝が隠されているとされる中心部へと進んだ。


「これが、秘宝…?」


 リナが小さな宝箱を見つけ、驚きの声を上げた。


 宝箱を開けると、中からは温かな光が溢れ出し、二人を優しく包み込んだ。




「リナ、これは…」


 ミナが言葉を失った。


 宝箱の中には、小さな結晶が入っていた。


 その結晶からは、強力な魔法の力が感じられた。



 その瞬間、神殿が揺れ、遠くから不吉な声が聞こえてきた。


「ついに、秘宝を見つけたか…だが、それを手に入れることは許さない…」



 リナとミナは互いを見つめ合い、手を取り合った。


「ミナ、私たちならきっと大丈夫。この力を使って、世界を守り抜こう。」



 二人は結晶の力を解放し、迫り来る見えない闇と対峙する準備をした。


 これから彼女たちを待ち受ける戦いは厳しいものになるだろうが、彼女たちの絆と勇気は、どんな困難も乗り越える力を持っていた。


 エルヴィナの運命は、今、双子の姉妹の手に委ねられていた。

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