第3話 深夜、学校は静寂に包まれていた。

 深夜、学校は静寂に包まれていた。


 月明かりだけが校舎を照らし、ケンジたちは約束の場所に集まっていた。


 彼らの表情は真剣そのもので、今夜の行動が彼らにとってどれほど重大な意味を持つかを物語っていた。


「みんな、準備はいいか?」


 ケンジが小声で尋ねた。



「オーケーだ。」


 タクヤが頷き、他の友人たちも同様に返事をした。





 彼らは慎重に、しかし確実に旧校舎へと進んだ。


 その扉は古く、軋む音を立てながら開いた。


 彼らの足音は廊下に響き渡り、何かが彼らの存在を知らせるかのようだった。




 地下室への入口は、予想通りに見つかったが、扉には鍵がかかっていた。


「こんなの予想してたさ。」


 ケンジはリュックからピッキングツールを取り出し、扉の鍵をいじり始めた。


 数秒後、彼の手際の良さで扉は無事に開く。


 地下室に足を踏み入れると、彼らは一瞬、息をのんだ。


 部屋の中央には大きなテーブルがあり、その周りには様々な書類や写真が散乱していた。


 壁には学校の構造図が掛けられ、その一部には赤いマーカーで印がつけられていた。


「ここで一体何が…」


 ケンジが言葉を失いながら、テーブルの上の資料を手に取った。




 その時、ふと後ろで物音がした。


「誰かいるのか?!」


 タクヤが振り返り、懐中電灯の光を後ろに向けた。


 しかし、そこには誰もいない。




「気のせいか…」


 タクヤがつぶやいたが、ケンジは何かを感じ取っていた。


 彼は静かに資料をリュックに詰め込み、仲間たちに手を振った。


「行くぞ、もうここにはいられない。」



 彼らは急いで地下室を後にし、旧校舎から脱出した。


 外に出ると、深呼吸をして、一旦は安堵したが、ケンジの心の中には新たな疑問が芽生えていた。



「この資料が、事件の真相につながる手がかりなのかもしれない。でも、なぜハルたちはこんなことを…」



 彼らが持ち帰った資料の中には、学校内で起きている不可解な事件の背後にある驚くべき計画の証拠が隠されていた。


 しかし、それを解読するにはもう少し時間が必要だった。



 ケンジたちはその夜、何者かに見られていたことをまだ知らなかった。


 彼らの行動はすでにある人物の目に留まり、これから彼らに向けられるであろう脅威の始まりに過ぎなかったのだ。

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