第28話 『宝石の国』完結
こんにちは、真野てんです。
『宝石の国』は月刊アフタヌーン掲載。市川春子先生によるファンタジー漫画です。2012年から連載が開始され、途中に休載を挟んだ2024年六月号にて12年間にも及ぶ長期連載作品が完結しました。
自分は最終回までをマガポケで読みましたが、もともとはアニメから入ったクチです。しかも本放送から数年経ってからの視聴だったためブームもかなり落ち着いていました。
未読の方もおられると思いますのでネタバレは回避しつつになりますが、遥かなる時間の流れを描いた大河作品と言えるでしょう。作品世界の時間経過において、下手する一コマで数百年経ってることもありますから、マジぱねぇです。
本作の考察やストーリー解説などは各所でやられてると思いますので、ここではあえて言及しませんが、いやーすごい作品でしたね。
自分ではあの世界観は絶対に思いつかない。最初にアニメを観た時は、身の程もわきまえずに嫉妬を覚えました。天才っているんやなーって。
完結までに12年間。リアルな時間経過もすごいんですが、その間の葛藤は如何ばかりのものだったでしょう。最終回での欄外では「予定通り終れた」と書いていた市川先生ですが、展開が進むにつれて、なかなかに難解でファンが飲み込めない内容になっていったことも、しばしば取り沙汰されております。
作者が描きたいものと読者の求めるものとの乖離というのは、いかんともしがたく、どう終わらせるのが作品にとって幸せなのかという問題は永遠に続くんでしょうなぁ。
さて本作の最終回ですが、読まれた方にはお聞きしたい。どう思いましたか?
正直、自分は100話あたりから、あとはエピローグの範疇なので何かが起こることはないだろうと思ってましたので、それほど気になりませんでした。サブタイトルは表題の「宝石の国」とされ、話数は煩悩の数とおなじ108話。先生の言う「予定通り~」とはこのことなのか?
フォスや宝石たち、金剛先生、月人、アドミラビリスたち。
それぞれの幸せってなんだったんだろう、と考えると、もっとほかにいい終わり方はなかったのだろうかとファン目線では思うものの、久遠とも思える壮大な時間の前には、そうした個人の思想や気持ちというのも瞬きのようなもので、また市川先生としては「これが幸福なんだ」として描き切っているのだから、こちらとしては何も言いようがないのでしょう。
フォスが何かを手にするたびに、何かを失ってゆく。
何かを求めるたびに、何かが壊れる。
ではなにもしなければ、無知で純粋なままでいればよかったのか。
そうした壮大なメタファーがこの作品の本質のように思います。
この手の作品が無事、完結したこと自体が幸福なのかもしれません。
後の世で何かしらの教材になるのでは、と感じてしまうスケールに圧倒されます。
ともあれ12年間、ご執筆お疲れさまでした。
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