第12話家族·神奈川県厚木市(2)
朝の六時、起床し歯を磨き終えた古賀はサキダ家の窓から朝日を見ていた。
「気持ちいいな……。」
そして朝食を食べに一階へ降りた時、ドアの近くの棚に小さな写真立てを見つけた。そこには父と母と娘の3人が並んで色あせた写真に映っていた。
「あら、古賀さん。おはよう」
「崎田さん、おはようございます。ところでこの写真はなんですか?」
古賀が質問すると、崎田は少し暗い表情になった。
「それはあたしと両親が、鶴岡八幡宮で七五三をした時に撮った写真なの。」
「へぇ、両親とは離れて暮らしているの?」
「ううん、私の両親は岩手県にすんでいたんだけど、十三年前に亡くなったの…。」
そこまで聞いて、古賀はハッとした。岩手県で十三年前といえば、あの東日本大震災しかない。
「ごめんなさい、辛いことを思い出させてしまって…。」
「いいんです…、親はいなくてもこの写真に親はいるのですから…。」
笑いながらも少しさみしい崎田の表情に、古賀は切なくてやり切れなくなった…。
古賀は今日、自分の家族に連絡することを心に決めた。
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