勇者を辞めて農民になった、農民スキルを極限まで鍛えてみたら最強になっていた
おーちゃん
第1話 『0話 異世界転生』
『0話 異世界転生』
◇日本
俺は高校を中退して、その後にバイトをしていた。
年齢はまだ十代とはいえ、生きるのが苦しかった。
バイト先はかなり劣悪な労働環境。
いわゆるブラックバイトという言葉があるが、正に低賃金で残業時間は多かった。
それでも平均年収にも満たないのは悲しい。
その日も残業を終えて疲れ切っていた。
帰り道の交差点で急に大型トラックが俺の前に来た。
俺はトラックと衝突した。
◇転生の塔
ここは……。
俺はトラックに衝突して死んだのか?
見たこともない空間にいた。
まるで神殿のような造りの部屋。
夢でも見ているのか。
「タケダだね、あなたは」
いきなり神殿から声があった。
振り返ると、
「誰だ? そしてここはどこだ」
「ここは転生の塔。そして私は転生の塔にいる神であるアフロディーテ。よろしく」
「よろしくも何も、俺は死んだのだろう」
女の名はアフロディーテらしい。
恐ろしく美人な女であり、スタイルはS級モデルみたいな体をしている。
意味がわからないのは、神と言ったことだ。
俺は死んで頭がおかしくなったのか。
「死にました。死んだ人間を呼んだのです。呼んだ理由を説明しますね。タケダがいた世界から別の異世界に転生してもらう。転生の塔は人間を転生させるのが役目。私は転生の役目をおった神てとこかな、わかった?」
「わかった。俺は死んで、別の異世界に行くてことだな」
もちろん理解できる範囲を超えた話の内容だった。
しかしどうでもよくなったのも事実だ。
現世だった日本では毎日が生きるのに苦しい日々だった。
ただ生きている感覚だったし、楽しみと言えばアニメを見ているくらいだった。
そしてアニメ、ラノベなどにあった異世界転生はあった。
まさか俺が異世界転生に直面するとはと思ったところで、神の話に乗ろうとも思った。
「飲み込みが早いわね。そしたら異世界に送ります。異世界で魔王を倒してもらうのがあなたの目的。魔王を倒して世界を救うこと」
「魔王か。それなら特別な能力を付与してくれ。普通の人間にはむり無理だろう」
「もちろん付与しておきます。魔力などの初期数値はチート級にね」
少しは疑っていたが、やはり転生は本当らしい。
アフロディーテとか言う神は俺を本気で魔王と戦わせる気だ。
顔が嘘をついている風には見えない。
ゆっくりと俺の顔の前に接近していた。
胸はメロン並に大きい。
その胸が顔面に当たる。
何をしているのか。
息が苦しい。
苦しいので俺はアフロディーテの腰を持った。
人間の体温とは違っていたけども、触れたことのない感触。
腰からお尻にかけて柔らかな感触。
他人から今の俺を見たら、露出した変態女に抱きついた男と思われるだろうが、誰も居ないから気にしなかった。
「転生の儀式よ。私のおっぱいに埋めたら転生出来るの。我慢してね」
「……」
なぜ、おっぱいに埋めるのかわからなかったが、儀式らしい。
俺以外にも儀式をして送られた人間がいるのか。
聞いても意味がないかもしれないが、もっと色々と聞きたいことはあったけど、今は良い異世界ライフになることを信じたい。
最悪な異世界ライフはゴメンだ。
おっぱいの感触を感じている間に俺は再び意識を無くした。
◇異世界
俺は目を覚ましたら又も見たこともない風景であった。
どうやら記憶はあるらしいのは助かった。
日本に居た時の記憶があるのと無いのでは大違いだろう。
神アフロディーテの約束も覚えていて、魔王の討伐が俺の最大の目的。
言うのは簡単だが、魔王は世界で最も悪名高いらしいので、俺の命の保証はないとは思う。
それからの俺は正しく異世界チートだった。
神であるアフロディーテに付与されたステータスはケタ違いで、ありがたく使わせてもらった。
転生して冒険者になり、毎日が冒険に。
経験値を確実に積んでいった。
いつしか俺は冒険者から勇者とまで呼ばれる。
勇者は世界で最も強い者に与えられる名称。
冒険者にとっては最高の栄誉と言われる。
異世界に来て名前をアマルフィとなっていた。
転生した時に自動で決められた名前だったから、それを受け入れることにした。
◇魔王城
勇者アマルフィこと俺は仲間パーティーも苦難の末、ダンジョン最下層まで進み、最深部の間にたどり着く。
ダンジョン最下層には魔王城が待ち構えていた。
静寂さしかなかった。
俺は苦戦の末、魔王城に入る。
待っていたのは魔王ハデス、玉座に座り俺と対面、魔界の王、すなわち魔王の風格を俺に浴びせる。
「よく来たな勇者よ」
「お前が魔王ハデスだろ、死んでもらう」
「恐怖を味わうがいい!」
魔王らしいお決まりの言葉を俺に贈るが、迷惑であった。
魔王ハデスは俺の姿を見ると、玉座から立ち上がり、戦いの開始であるセリフをいい、俺も剣をぬいて魔王ハデスに向ける。
ここまで来た時にすでに体力と魔力のかなりの量を消費してきたが、全て使い尽くす覚悟で戦いに望む。
仲間達はたどり着くのが精一杯で、体力と魔力は限界に達して、魔王ハデスとの決戦は俺に託すしかなかった。
俺が魔王に勝てるからわからない。
魔王のステータスは見えなかったが、俺のステータスはすでにマックス値まで達している。
職種 勇者レベル999
体力 9999
魔力 9999
防御力 9999
素早さ 9999
スキル
鑑定
森羅万象(剣術)
魔法
攻撃魔法全種
防御魔法全種
回復魔法全種
剣術は最強レベル。
魔法は最上位魔法を全てマスターしていた。
そこで魔法で魔王戦に備えておく。
「ハイダブルプラス体力」
「ハイダブルプラス魔力」
「ハイダブルプラス攻撃力」
「ハイダブルプラス防御力」
ハイプラス魔法によって俺はステータスの上限を二倍にまで引き上げる。
「火魔法耐性」
「水魔法耐性」
「土魔法耐性」
「風魔法耐性」
「闇魔法耐性」
次に魔王から攻撃を受ける前に、耐性強化を怠らない。
「物理ダメージ軽減」
「ステータス異常無効」
「スロウオーバー」
魔王の攻撃を遅める魔法もしておき、情報から魔王ハデスの攻撃力を調べてあり、一回の攻撃で体力がゼロになる可能性を考えておく。
「豪炎魔光剣」
俺の剣が血のように赤く、太陽のような輝きを放ち、魔王に差し出し、魔王は剣など怖くないとばかりに、前進、俺の剣と激突した。
「…………おのれ……勇者アマルフィ…………」
「残念だったなハデス」
苦戦の戦いの結果は俺が激勝で終わり、魔王ハデスは力尽き、消え去った。
勝ったか……。
やっと長い戦いは終わっな。
神アフロディーテとの約束は果たせたと言っていいだろう。
短くも長い、中身の濃い日々だった気がする。
ダラダラと何もしない時代を振り返り、忘れることのない強烈な日々となった。
◇ハクサン国
疲労は極限にまでたってしていた。
ダンジョンから地上に戻り、ハクサン国の王都に帰還した。
ハクサン国は俺が冒険者として拠点としていた国である。
常に俺をバックアップしてくれたのも感謝しているし、ドナウ国王の力が無ければ、とても魔王を倒すのは難しかった。
俺は国民が見守り、大声援の中を悠々と歩き、国王がいる城に。
苦労はあったが、国民からこれだけ声援を受け、救われた感じだ。
城に来るとドナウ国王は笑顔をで俺を迎えてくれた。
「よくぞ魔王ハデスを倒し戻った勇者アマルフィよ」
「ありがとうございます国王様」
「これで世界は平和になる」
「はい」
感無量だった。
「アマルフィは後で、私の所に来なさい。魔王を倒した褒美を与える」
「ありがとうございます」
俺は騎士団の兵士が守るドナウ国王と対面し、魔王ハデスの討伐を終えたことに大いなる賞賛を与えられ、俺も頭を深く下げる。
国王の間での祝福の儀を終えた後に、国王から城にある地下の呼ばれた俺は、魔王を倒した最後の仕事だろうと国王の待つ地下に向かう。
国王は立っていて、国王の他に魔術士が五人、なぜ魔術士が五人もいるのか、魔術士がいる理由はなにか、誰かと戦う話でもするのか、ご護衛か、色々と考えた。
しかし魔王との激戦の後であったため、脳の回転は著しく落ちていたので、判断力はなかった。
なんで?
「国王、魔術士はなぜここに?」
「魔術士と気づいたあたりはさすがだ。しかし、なぜなのかまではわからないのは、判断力が弱いかもな」
国王は先ほど俺を賞賛をした時と比べて違う印象で、俺を英雄としているよりも、むしろ逆に何か企んでいる風に思え警戒心を抱いた。
どうしたのだろうか?
なぜ俺にそんな冷たい視線を送るのか……。
「…………意味がわかりませんが」
「ふふふ、わからないなら、教えてやろう、魔王ハデスが死んだ今、お前が邪魔になったのだ。ハデスをも超える力を持つ、お前がいたら、国民はどう思う。国民は私よりも勇者アマルフィに心が動くのだ。つまりは私よりも勇者アマルフィが国王にふさわしいとなるのは時間の問題なのだよ」
「国王様、私は国王の座など誓って興味ありません。神に誓います。心配ご無用です」
国王の心配など要らないと俺は説明したが、国王は全く信じようとせず、むしろそんな謙虚なところが国民から好かれ、一番危険なのだと。
まるで俺を殺すことが自分の王の立場を安全にする方法らしいと言いたいのか。
それは間違いだ。
「それが危ないのだよ、死んでもらいたいのだが、お前ほどの勇者を簡単に殺せるわけがないのは承知している。そこで剣術と魔法を完全に封印しておくなら出来るとなった。魔術士五人いれば十分に封印させられる」
「バカな……」
俺の予想は当たった。
最悪の予想が。
「さぁ魔術士よ封印魔法でアマルフィを封印しろ!」
国王は俺の言い分を全く聞こうとしない。
あれだけ国王のため、国のために頑張ったのにか。
「なぜだ、俺はあなたのために、国のため、国民のため、死ぬ気で努力したのに、この仕打ちはひどい!」
「勇者の剣術と魔法を封印、オペレーショングラビトン」
「うわぁーーー」
魔術士五人が封印魔法を唱えると、普段の俺ならたやすく対応し、何もなく魔法を跳ね返すだろうが、魔王ハデスとの激闘した後で、俺の体力、魔力などのステータスは最小値まで減少し、最弱の魔物一匹と戦えるかさえもわからない、冒険者レベルで言えばレベル最弱にまで落ちていて、とても魔術士に対抗できる余力はなかった。
国王はそのことを知っていて、魔術士と相談し、十分に封印できるとふんで地下に呼んでいた。
俺だけがその計画を知らずに来てしまったのだった。
俺は不覚にも封印魔法の効果により、それまで鍛えた剣術スキル、魔法を全て封印され、普通の高レベルよりも弱い冒険者にまで落ち果てた。
封印後は地下にある地下牢に俺を閉じ込め、二度と地上に出れなくし、厳しい警備も起き、自分が国王をこのままするらしい。
国民には怪しまれないように、勇者アマルフィは冒険者である勇者も辞めて静かに田舎で暮らすと伝えるのだと言い残した。
つまりは俺を世界に出れなくしたわけだ。
国王は安全になった。
こうしておけば勇者アマルフィを国王にしようなど声は上がらすに済むからであろう。
事実、何年経っても国王の人気は衰えずに盤石の体制へ、そして勇者アマルフィの名は国民から少しずつ忘れられていったと警備の兵士から聞かされた。
あんなに頑張ったのは何のためだったのか。
それとも俺が馬鹿だったのか。
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