調査報告
調査報告
対象は巣鴨の小さな製菓会社で二年ほど勤めた後、池袋で水商売の仕事をしていたものと思われる。その時の客に引き取られるようにして店を辞めている。その後の住所は不明。 会社勤めの頃の住所に行ってみたが、既に他の人間が暮らしている模様。クレジットカードなどの利用歴がないため捜索は困難を極めたが、どうやら新宿にいるらしいということがわかった。
「……飲み屋で働いているということかね」
渡された書類を読んで、男は信じられないように呟いた。そしてばさりと音をたてて報告書を机の上に置いた。
「場所はわかっています」
「そうか……」
探偵が下がっていって、男は窓から表を眺めた。雨がしとしとと降っている。雨粒がガラスを覆い、車があちこちからやってきては消えていく。男はため息をついて電話に歩み寄り、内線で秘書を呼んだ。そして用事を言いつけてしまうと、なにかを決心したように部屋を出て行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます