詩集『キミボクセカイたまにネコ』

或虎

『すてねこ』

捨て猫が歩いている

防波堤の上

空の青に背を擦りながら

てくてく歩いてる


たった今彼の小さな心は

肉体以外すべて

思い出も執着も

隠れ家も縄張りも

柔らかい手もしわくちゃの笑顔も

足跡の向こう側に捨ててきた


なにもかもすべて

捨てた猫


防波堤の上

捨て猫が歩いている


彼はこれから

何か大事な物を見つけては一つずつ

拾っていこうと思っている

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