第14話

その後、旦那様から「今日の仕事を休んでもいい」と言われたがアイシャさんやセイラさん達が働いている手前

一人だけ休むのも気が引けたので、僕はいつも通りに仕事をしていた。

ちなみにウルさんは休んでた。

仕事が終わり、僕は自分の部屋に戻っていた。

そして僕は今日の事を考える。



「なんか、凄い事になったなぁ」

『そうですね』

ゼラといつも通りの会話をしている時。

「コハル、入るわよ」

「ひゃい!?」

唐突に聞こえた声に驚いて変な声を上げてしまう。そして僕の部屋にソフィア様が入って来た。



「な、何でしょう?」

「何って?ストバードまで付いて来てくれるんでしょ。だから勉強、教えてあげようと思って」

「あ、ありがとうございます」

僕は少し戸惑いながらもそう言う。そしてソフィア様は僕の隣に座った。

「とりあえず、テスト作ってきたから」

ソフィア様がそう言うと、紙束を僕に渡した。その紙の一番上には『魔法学』と書かれていた。



(書いてあること何一つ分からない……ゼラ!助けてぇ)

僕は心の中でゼラに助けを求める。すると直ぐに返事が返ってきた。

『はい、お任せ下さい』

ゼラの力に頼りつつ僕はテストを進めていく。

そして全ての問題を解き終わる。

「えぇ全部あってる……」

ソフィア様、若干引いてない?



「全く、教えるって息巻いてた私がバカみたいじゃない」

「まあ、それだけできるなら。教える必要も無いみたいね」

「え、これだけで大丈夫なんですか?」

僕がそう聞くとソフィア様は言う。



「これだけって……まあ、そもそも学力試験の配点は低いし。これだけできれば大丈夫でしょ」

僕はほっと胸を撫で下ろす。そんな僕を見たソフィア様は言う。

「入学試験は七か月後、ちゃんとしたら大丈夫だから」

「はい、頑張ります!」

僕がそう言うとソフィア様は立ち上がる。

「じゃあ戻るから」

そう言ってソフィア様は部屋を出て行った。



「なんか、色々何とかなりそうで良かった」

『そうですね』

「魔法学園か……どんな所なんだろ」

『ストバードの基本的な解説をいたしましょうか?』

「いやいいよ、楽しみにしとくから」



『そうですか』

「うん、じゃあ寝よっか。おやすみゼラ」

『はい、おやすみなさいコハル様』





それから一週間ほど経った頃。

「悪いね、今日は休みなのに呼び出して」

旦那様が申し訳なさそうに言った。

「いえ、それより」

「ああ、呼び出した理由はバルトラムについてだ、家宅調査の結果についてはその計画についての資料は見つかったが」

「君の言うルシュディいや裏に繋がる物は何一つ見つけられなかった」

「そうですか……」

僕がそう言うと旦那様は話を続ける。



「まあ安心してくれ、この件は私から国に伝えておく」

「君たち若人がこれ以上苦心することも無いしね」

「ありがとうございます」

僕がそう言うと、旦那様は笑う。

「話はこれで終わり、それじゃゆっくり休んでね」

「はい!」

僕は元気よく返事をすると部屋を立ち去った。






『コハル様、今日は何処へ行かれるつもりですか?』

「とりあえず街に出てみるよ、何するかは決めてないけどね」

僕は身支度を済ませた後、街の方へと向かった。

今までに買い出しとかで何度か来ていたことはあるけれど、今日はなんだか雰囲気が違って見えた。

緑が多かった屋敷と違う西洋風な建物が並ぶ街並み。

僕がその景色を楽しみながら街を歩くと、ふと声をかけられた。



「コハルちゃん、今日も買い出しかい?」

それはいつも買い出しの時に利用している八百屋のおじさんだった。

「あ、今日は違うんです。休みなんで街に遊びに来てます」

「そっか、でも何で休みの日まで侍女服なんだい?」

「あはは……」

僕は苦笑いする。

だって服の選択が痴女みたいなあの服とメイド服なら誰だってメイド服選ぶでしょうが。



「まあいいや、楽しい休日を」

「はい、ありがとうございます」

僕はそう言って街の探索を続ける。





皆さんは、不良やらなんやらに美少女が絡まれ迷惑そうにしている所を見かけ、颯爽と助ける妄想をしたことはある?

ちなみに僕はある。……まあでもまさか、される方になると思わなかったな~

「ねえ、お姉さん可愛いね~今一人?」

「暇なら俺たちと遊ばない?」

「いや、あの僕その」



詰まって言葉が出ない、と言うか怖い。

見ず知らずの数人に囲われ、僕の体は震えていた。

どうにかできない訳じゃないけど……人に向けて魔法を打つのはよしたい。

「ダッサ、男数人で女の子一人囲んで。恥ずかしくないの?あんたら」

僕でも、ましてや男達でもない声が聞こえた。

隙間から見えるその人は、僕と同じくらいの背丈で強気に物を言った。

でも、それ以上にオーラが凄かった。

(えっと……誰だろ?)

僕は隙間から見えるその人に少し見惚れていた。



「……君も可愛いね、一緒に遊ばない?」

「クソダサなあんたらと?冗談はやめてよ」

「はあ!?」

男がそう言うと、その人はさらに挑発するように言った。

それを聞くと男達は怒り出してその人に掴みかかろうとした。

が……その人は地面とキスをしてた。

「どうしたの?随分とお似合いだけど」

「クッ!?」

男は悔しそうにしながら、仲間と共に去って行った。



一瞬の出来事だった、その間僕は何もできずただ見ている事しかできなかった。

そして僕が呆然としていると、その人は僕の方を見て言う。

「大丈夫?」

「あ、ありがとうございます!」

「良かった~、本当に何もされてない?」

先ほどとは口調が変わり、僕にそう言う。

「はい、えっと何かお礼を」



「いいよいいよ、そんなの求めてやった訳じゃないし」

「あ、いやでも何かしないと」

僕は思わずそう言った。

「律儀だね~ま、でもそれでも良いのかもね」

そう言って彼女は振り返る。そのまま歩いて行こうとした時。



「ぐぅ~~」

と腹の虫がなった。

彼女は少し恥ずかしそうにしながら言う。

「あ~いや、そのやっぱりお礼、してもらえない?」

「ハハハ、はい勿論です」

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TS転生した僕っ子サキュバス。手を差し伸べ続けたらいつの間にか大事に巻き込まれてました。 アイスメーカー @aisumeika

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