第5話 殺人鬼が殺せない存在3
つまるところ殺人鬼と殺人犯の違いとは対象を皆殺しにするか否かに行き着く、と世間一般では言われている。人が人を殺してしまう状況や動機は千差万別だろうから一概にこうだと語ることは出来ないが、普通ならば殺人という行為は及ぶすら相当なストレスを伴うので生涯に一人ぐらいしか殺せないというのは通底した前提だとぼくは考えている。しかしながら普通の人間でありながら殺人行為のストレスを感じない場合も存在する。
複数犯の場合だ。
責任の転嫁と責任の転換。
希薄するモラルと希釈するモラル。
膨れ上がる攻撃性。
個人が何も背負わなくて良い。
これは意外に人間にとったら贅沢な褒美だ。
皆でやれば、が。
一般人を殺人鬼に変える。
閑話休題。
「見つけたッ!!!!」
少女だった。
麦わら帽子と白いワンピース。
此方を指差し。
手には鉈。
何かに激怒したかのような表情。
怒れる第一村人発見である。
即座にヘッドショット。
少女の頭部。
眼球から脳に達する即死の射撃。
指差したままフラフラと数歩前へと進んだ彼女は、そのまま膝から崩れ落ち動かなくなった。
「咄嗟に殺しちまった。おっきな声出すから」
見た感じだと中学生ぐらいか。
持ち物は手にした鉈ぐらい。
無線の類は無し。
その鉈を倒れた彼女の遺体に突き立て、周囲の警戒。此処でバラバラに刻んで見せしめとしても良かったのだが、今回の任務は待ちではなく攻めである。心理的な恐怖を与える効果は無い。アウェー戦の基本はサッカーでも任務でも早めに優勢な状況を作り出すだろう。
しかし。
何故、こんな子供が?
村が無人ではないにしろ。
学生までいるのか?
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